『嘘解きレトリック』ホラー要素満載の重厚な世界観 坂東希の美しくも不気味な怪演

 回を重ねるごとに、そのレトロな世界の中に、美しく妖しいホラー要素が徐々に色濃くなっていく『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)。その重厚な世界観は、私たちを画面の向こう側へと誘うかのよう。今回、左右馬(鈴鹿央士)と鹿乃子(松本穂香)が訪れるのは三十三番街の裏にある“幽霊屋敷”。10年前、住んでいた足立画伯が妻を殺害して姿を消し、殺された妻の幽霊が出るという噂が残る場所である。

 第7話では、ヨシ江(磯山さやか)が病院に置き忘れたショールを取りに行く鹿乃子に、左右馬も同行することに。2人が病院でショールを受け取ると、「カフェーローズ」の女給・リリー(村川絵梨)が、常連客の貫二(黒羽麻璃央)を問い詰めていた。映画を見る約束をしていた貫二が姿を見せず、約束を破ったことに怒るリリー。貫二の話では、映画館へ向かう途中、三十番街の“幽霊屋敷”で女の幽霊を目撃して驚き、転倒して骨折。そのまま入院することになったのだという。

 一方の映画館では、貫二を待っていたリリーのもとに、ある女性(坂東希)が近づいてきた。貫二と一夜を過ごしたという女性の話を聞き、リリーは約束を破った貫二を浮気者と思い込んで怒っていたのである。しかし鹿乃子は貫二の証言に嘘がないと見抜き、左右馬に目配せ。幽霊の正体を突き止めるため、左右馬と鹿乃子は端崎(味方良介)と、3人で幽霊屋敷へと向かう。前回の人形屋敷に引き続き、今回の幽霊屋敷も見事な作り込みで、不気味な雰囲気が視聴者を圧倒したのではないか。

 暗闇から聞こえてきた物音を頼りに捜索を進めた3人は、そこで強盗犯を発見。これにより、三十三番街の強盗殺人事件、10年前の画家夫人殺害事件、そして画家の失踪事件という3つの謎が、一挙に解決されることとなった。これまでとは異なり、鹿乃子の嘘を見抜く能力が事件を動かす大きな鍵にならなかったことも第7話のポイントの一つだろう。

 これまでも著名なベテランから実力派の若手まで、数々の俳優がゲスト出演し話題を呼んできた本作。第7話で注目すべきは、日本のミュージカルシーンを牽引する黒羽麻璃央、ベテラン俳優・温水洋一と並んでのゲスト出演となった坂東希だろう。

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