柳楽優弥の“優しい目”は演技力の高さの証 『ライオンの隠れ家』“普通の青年”役は新境地に
柳楽優弥主演のTBS金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』がいよいよ10月11日からスタートする。
本作は、『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)や『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)シリーズの徳尾浩司と、今作が連続ドラマデビュー作となる新人・一戸慶乃が共同で脚本を担当するオリジナルヒューマンサスペンス。市役所で働く青年・小森洸人(柳楽優弥)と自閉スペクトラム症の美路人(坂東龍汰)は、美路人の特性とうまく付き合いながら平穏な日常を過ごしていた。だがそこへ「ライオン」と名乗る謎の男の子(佐藤大空)がやってきて一緒に暮らすことに。突然始まったイレギュラーな日々に戸惑う洸人たちだが、さらに“ある事件”に巻き込まれていくことになる。
柳楽が演じる洸人は、両親を事故で亡くしてからは、美路人と2人で暮らしており、朝は弟と決まった時間に家を出て、退勤後も弟と決まった時間に一緒に帰るという生活を送っている。特性のある弟に歩幅を合わせ弟のために生きているような真面目で優しい人である。
「“あの”柳楽優弥が、こんな平凡な青年の役を?」と思った映画・ドラマファンは多かったはずだ。是枝裕和監督作『誰も知らない』で史上最年少のカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞し、その名を広く知られるようになった柳楽は、その場を飲み込み、圧倒してしまうような存在感と演技力でその後も何かと“振り切れた”役を演じることが多かった。
現在公開中の『夏目アラタの結婚』では、死刑囚にプロポーズする児童相談員で、主人公の夏目アラタを演じている柳楽。夏目の役柄もやはり普通では考えられない“振り切れた”ものだ。その上、そういう役を演じる柳楽は何かに取り憑かれているような怖さがある。
それを表現するのに大きな役割を果たしているのが、大きくて特徴的な目ではないだろうか。よく目に感情が宿っておらず“無”になっている人のことを「目が死んでいる」と言うことがあるが、柳楽は「目が死んでいる」状態にできるのである。それでいて身体はイキイキと動かすから、そのチグハグ感が「この人、尋常じゃない……!」と異常さや非凡さを感じさせることにつながっているのだ。