『虎に翼』“別人”で再登場の片岡凜にゾクリ あの頃と“変わらない”明律大学女子部の姿も

 『虎に翼』(NHK総合)第123話では、冒頭、寅子(伊藤沙莉)は東京家庭裁判所の面々に少年法改正に関する意見を求めた。さまざまな意見が出る中、「愛の裁判所を守りたい」と言った寅子に対する音羽(円井わん)の意見が寅子の胸をついた。

「本当に守ろうとしてきましたか?」
「家裁は昔から人員不足。それを個人の努力だけで補ってきてしまったひずみが今です。その責任は、佐田判事の世代の方々に大いにあるでしょう?」

 その後、寅子は猪爪家でも、少年法改正に関連する意見を求めた。猪爪家の討論会で寅子自身が口にしていたように、家裁で出た意見も猪爪家で出た意見も、“どの考えも正しい”。寅子はそれをしかと受け止めたうえで“いい落としどころ”を見つけるために行動を続ける。寅子を演じる伊藤の傾聴する姿や表情には、さまざまな意見から最善策を導き出そうと努める寅子の法、そして人に向き合う真摯さが表れていた。

 物語前半で描かれた課題は変わりゆく時代の流れを感じさせるものだったが、後半では変わらないものも描かれた。

 司法試験受験のため、涼子(桜井ユキ)たちが上京してきた。涼子たちを囲んで、明律大学女子部の一同が顔を合わせる。よね(土居志央梨)は「私らで絶対にこいつを受からせる」と、涼子のために問題を作ってきていた。口調こそぶっきらぼうだが、面倒見がいいよねの優しさに触れ、涼子は胸がいっぱいな面持ちで「私、必ず満点を取ってみせます」と意気込んだ。

 ここでも変わらない涼子とよねの関係性が表れていたが、寅子は一同でよねが作った問題を解く中で、女子部で過ごした日々を思い出す。あの頃と変わらず、各々が法の世界に向き合っている。そのことは新たな時代の少年事件に立ち向かう寅子にとって、とても励みとなったはずだ。大切な仲間の姿を見、思いが込み上げてきたような表情で微笑み、再び問題を解き始める寅子の姿が胸に沁みた。

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