『マル秘の密子さん』前社長・謙一を殺した“真犯人” 上杉柊平がかかった大きな魔法

 生まれながらにして九条開発の社長となる宿命を背負った兄妹。特に遥人は美樹の期待を一身に背負っており、社長になる以外の選択肢はないに等しかった。ゆえに将来の夢を持てず、夏から社長になりたい理由を問われても答えられなかった遥人。謙一はそんな遥人を社長になる重圧から解放してあげたかったのだ。自身は「福祉の町を作る」という目標を持っていた謙一だが、それは彼が婿養子で、最初から運命が定められていたわけではないからだろう。だからこそ、伸び伸びと大きな夢を描くことができ、そんな謙一に遥人は憧れていた。

 生きているうちにわかり合うことはできなかったが、「生きたいように生きろ」という謙一の愛に溢れた言葉が遥人に大きな魔法をかける。たしかに遥人には何か大きな夢があるわけではない。けれど、会社の未来を考え、社長になるため努力してきたのは事実だ。坂東が握っていた九条開発の不正やスキャンダルが世間に広まれば、社員が路頭に迷うと考えた遥人は密子に助けを求める。どんなに情けなくとも社員のために頭を下げられる遥人は、普段クールに決めている彼より余程かっこよかった。その姿こそ、遥人がなりたかった自分なのかもしれない。

 密子は会社を愛していた姉・鞠子(泉里香)のためにも遥人の依頼を引き受けることを決意。経営陣を一新させ、夏を謙一の意志を継ぐ救世主に仕立てることで九条開発を窮地から救った。こうして九条開発の新社長の座についた夏。改めて平凡なシングルマザーだった頃の彼女と比べてみると、「外見が内面を変える」という密子の言葉通り、表情も凛々しくなってスタイリッシュなスーツ姿がすっかり板についている。

 しかし、密子の本来の目的は彼女を社長にすることではなく、鞠子の死の真相を明らかにすることだ。坂東は謙一の殺害を認めたものの、半年前の火事については犯行を否認している。では、果たして誰が? 火事の日、自分に向かって懸命に助けを求める鞠子の姿を想起する夏の意味深な表情が気になるところだ。

■放送情報
『マル秘の密子さん』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:福原遥、松雪泰子、上杉柊平、清水尋也、志田彩良、吉柳咲良
脚本:丑尾健太郞、藤岡明子、上野詩織、ばばたくみ
演出:中茎強、小室直子、伊藤彰記、苗代祐史
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:鈴木亜希乃、柳内久仁子
音楽:Ken Arai
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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