『虎に翼』土居志央梨が入山法子の悲しみに寄り添う 8年に及ぶ“原爆裁判”がついに結審

 『虎に翼』(NHK総合)第114話では、原爆裁判が結審した。

 家を飛び出した優未(毎田暖乃)が向かった先は山田轟法律事務所だった。百合(余貴美子)に対する態度に憤慨し、のどか(尾碕真花)を蹴ってしまったことを、優未は「どうしても謝りたくない」「怒っちゃだめなの?」とこぼす。じっと聞いていた遠藤(和田正人)は「怒っちゃいけないことはない」と前置きしつつ、「口や手を出したりするってことは、変わってしまう」と答えた。「その人との関係や状況や自分自身も。変わったことの責任は優未ちゃんが責任を負わなきゃいけない。口や手を出して何の責任も負わないような人にはどうかならないで」と伝えた。

 優未とのどかは仲直りできたが、個人の間だけでなく国家が責任を取ることの意味は、原爆裁判を通して問われたことである。昭和37年1月、原告で被爆者の吉田ミキ(入山法子)が当事者尋問のため上京した。和装のミキは、翌日の出廷に備えて事務所に泊まる。よね(土居志央梨)との会話で、ミキは自身が法廷に立つ意義を語る。美人コンテストで優勝経験があるミキの口調には自虐的な響きがあった。「『かわいそうな女』の私がしゃべれば同情を買えるってことでしょ。まあでも、他の誰かにこの役を押し付けるのも気が引けるしね。仕方ないわ」と嘆息してみせるが、その表情から笑顔が消えていく。

「『差別されない』。どういう意味なのかしらね?」

 ミキの視線の先には憲法14条の条文がある。涙声になったミキに、よねは当事者尋問をやめることを進言した。被爆者である原告の尋問に、よねの“相棒”である轟(戸塚純貴)は当初から反対していた。一度法廷に立てば好奇の目にさらされ、衆人環視の下で生きなければならない。それは「人並みに、穏やかに暮らしたい」ミキにとって耐えがたい苦痛となる。ケロイドの特殊メイクを施した入山法子が、被爆者の心情を繊細にすくい取った。表情をとらえたワンカットのシーンでは、土居志央梨との背中越しの会話を通じて抑えきれない悲しみを表現した。

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