小雪の“不穏な存在感”にゾクゾク 『ブギウギ』から『スカイキャッスル』へ華麗な変化

 現在放送中の木曜ドラマ『スカイキャッスル』(テレビ朝日系)に出演している小雪の存在感から目が離せない。小雪といえば、凛とした佇まいでキレのある役柄を演じることが多いが、本作でも彼女の魅力が遺憾なく発揮されている。

 韓国の人気ドラマ『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』をリメイクした本作は、華麗なる勝ち組セレブ妻たちが暮らす高級住宅街「スカイキャッスル」を舞台に繰り広げられる“ドロ沼マウントバトル・サスペンス”だ。浅見紗英(松下奈緒)、南沢泉(木村文乃)、夏目美咲(高橋メアリージュン)、二階堂杏子(比嘉愛未)らが、「スカイキャッスル」での自らの立場を向上させるために、他人を蹴落とし、這い上がろうとするママ友同士のマウント合戦は妙にリアルで面白い。

 そんなママ友とは一線を画しながらも、彼女たちに大きな影響を及ぼしているのが、ケタ外れの報酬を受け取り、子どもたちを志望校に100パーセント合格させる敏腕受験コーディネーターの九条彩香を演じる小雪だ。

 世代を代表する俳優として現在も存在感を放っている小雪。『恋はあせらず』(フジテレビ系)のトップモデル・有村麗役をはじめ、ミステリアスでどこか一筋縄ではいかない役を引き受けることが多かったが、年齢を重ねるごとに、『僕と彼女と彼女の生きる道』(カンテレ)の家庭教師・北島ゆら役や、映画『探偵はBARにいる』(2011年)のクラブのママ・沙織役など、抱擁力のある役も演じてきた。

 近年は、月9ドラマ『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)で演じたクールで心のが広いチームリーダーで、捜査員たちからも一目置かれている法医科長・海塚律子から、映画『桜色の風が咲く』(2022年)での凛とした強さと大らかさを持ち合わせた母親役まで、豊富なキャリアを活かして、懐の深い人物を描き出してきた。

小雪が『ブギウギ』に刻みつける底知れない力 物語の中心に存在し続けてきた2つの表情

妊娠中のスズ子(趣里)の前では手紙を介して明るく振る舞ってみせるものの、実際は衰弱が進んでいる愛助(水上恒司)。新しい生命の誕生…

 多くの作品で印象的な演技を残してきた小雪だが、筆者はNHK連続テレビ小説『ブギウギ』でスズ子(趣里)の最愛の人・村山愛助(水上恒司)の母親であり、日本有数の興行会社である村山興業の社長・村山トミで放った存在感が忘れられない。ヒロインのスズ子にとって大きな壁として何度も立ちはだかるトミの圧倒的なラスボス感。母親としての深い母性と関西の女傑としてのエネルギーの両方を兼ね備えた小雪の貫禄のある演技は『ブギウギ』に絶妙なアクセントを加えていた。

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