内野聖陽、『ブラックペアン』佐伯教授役から滲む凄み 『何食べ』ケンジとは正反対の人物に
TBS日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』で東城大学医学部付属病院の病院長であり、外科教授の佐伯清剛を演じる内野聖陽。オーストラリアの病院にいた主人公の天城雪彦(二宮和也)を東城大に呼び寄せたのは佐伯であり、天城を心臓外科に特化した専門病院のセンター長に就任させようと目論んでいる。
タイトルにもなっている“ブラックペアン”は、佐伯教授が手術の仕上げに使う特製のペアンを意味する。ペアンとは、刃のないハサミのような形状で、止血に使用したりする。佐伯教授がブラックペアンを使えば「それ手術の成功を意味する」と本作の公式サイトに紹介されている。
2018年放送の『ブラックペアン』でも謎の多い主人公・渡海征司郎(二宮和也)と佐伯教授の関係性が注目されていたが、今回も物語の中心で何か大きな動きを見せそうな佐伯教授。何しろ演じているのが内野聖陽なので、抑制された演技にも何かを成し遂げようとする人間の凄みが佐伯教授からは感じられるのだ。
また、佐伯教授の野望はとどまるところを知らず、病院長となった今はそれだけでは満足できず、日本の研究医療の頂点である日本医学会の会長の座も狙っている。本心を見せない野心的な男……目的を達成するためには自分にとって何が必要なのか、大人の事情を抱えつつ憂いを帯びた表情も何だか切ない。
8月18日放送の第6話のラストでは、天城の不在中にウエスギモータースの会長・上杉歳一(堺正章)の容態が急変し、佐伯教授自ら緊急手術をすると判断。オペ室に入り、準備をしていると、目に異常を感じた様子で、佐伯教授はまばたきを何度もしたかと思えば「今日はやめておこう」と突然中止を宣言した。「え? 佐伯式はやらないの?」「急にどうした? 何で中止?」と、佐伯式に期待を寄せる周囲をよそに、早々に薬剤治療に切り替えてしまった。
看護師長の藤原真琴(神野三鈴)は佐伯教授のオペにはいつもサポートするベテランなので、目の異常があった佐伯教授の様子にも気づいていたかもしれない。前作では心臓の疾患が見つかり、渡海が緊急手術を行った。今作の、目の異常は大丈夫なのだろうか。
佐伯教授のように、心の動揺など絶対に他人に見せない、むしろ動揺などとは全く無縁であるように振る舞う権力を持つ男とは正反対の、『きのう何食べた?』の矢吹賢二(通称:ケンジ)を同じ俳優・内野聖陽が演じていたとは、まさに奇跡のよう。