『マウンテンドクター』杉野遥亮“歩”が乗り越えたMMT最大の危機 チームの絆がきっかけに

 歩と仲間たちは逆境を克服したが、それぞれが自分に足りない部分を自覚し、仲間への信頼を表明する姿は、ドラマの作りとしてはオーソドックスなものである。小宮山や掛川(近藤公園)は救命救急や循環器内科が専門で、自分たちの役割を果たすことができなかったと反省する。歩と幼なじみの典子(岡崎紗絵)は、あえて叱咤激励することで歩を連れ戻そうとする。普段表に出ないそれぞれの人間性がいざという時にあらわになった。

 歩が宇田の死を乗り越える上で、市朗を救うことは直接的なトリガーになっている。また、歩の心を救ったのは亡き宇田の言葉だった。実際に郵便ポストが設置されている山小屋もあり、劇中に設定が生かされていた。患者を目の前にしたとき、歩にとって救わないという選択肢はなく、小宮山の一言によって医師としての使命に立ち返るのだが、険しい表情は挑むべき対象を見定めた医療者の目で、『マウンテンドクター』が歩の成長物語であることを示していた。

 周子の視点を通してMMTの存在意義を再三にわたって問いかけた第6話は、この国の山岳医療を取り巻く状況について考えさせるものだった。多発する遭難のニュースを見るにつけて、山岳医療のプロフェッショナルが今ほど必要とされている時はない。それでも医療費の逼迫を含む諸般の都合で、整備が行きとどいていないのではとの危惧を抱かざるを得ない。最前線にあって命と向き合う医療従事者の努力に報いる意味でも、必要な整備が行われることを切に願う。

■放送情報
『マウンテンドクター』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:杉野遥亮、岡崎紗絵、宮澤エマ、向井康二、八嶋智人、檀れい、大森南朋
脚本:高橋悠也
演出:国本雅広、高橋貴司、保坂昭一
プロデューサー:近藤匡(カンテレ)、大城哲也(ジニアス)
音楽:林ゆうき
主題歌:Official髭男dism「Sharon」(IRORI Records/PONY CANYON INC.)
制作協力:ジニアス
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/mountaindoctor/
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