『マル秘の密子さん』密子の正体が明らかに 痛みを大粒の涙に変える福原遥の圧巻の演技

 この第4話で主演・福原遥の真価が発揮された。丈晴の身動きを封じ、数々の拷問道具をちらつかせて脅しにかかる密子の表情は狂気を孕んでいる。けれど、丈晴が挑発にかかると、その瞳には恐怖の色が浮かんだ。「家族なんて心を縛る鎖でしかない」と夏に言った密子。彼女の心は大人になった今も、父親に縛り付けられている。

 密子が誰よりも変えたかったのは、そんな弱い自分だったのだろう。本当は自分の手で父親を殺したかった、姉を守りたかった。その思いが爆発し、丈晴を手にかけようとした密子を間一髪で止めたのは夏だ。他人に遠慮ばかりして、自分の本当の気持ちに耳を傾けてこなかった夏。そんな自分を変えてくれた密子に、夏は「私があなたの分まで、ちゃんと痛がるから。だから、あなたはもう苦しまなくていい」と強く訴えかける。そして、この言葉を授けた。

「あなたが変われば世界は変わる」

 密子が変わりたいと願う人たちにかけてきた魔法の言葉だ。それが巡り巡って、今度は彼女自身の心を救う。最終回でもおかしくない展開と、密子がこれまで抱えてきた痛みを大粒の涙に変える福原の圧巻の演技に胸が熱くなった。

 トータルコーディネーターと顧客という関係性を超えて、自分の人生を切り開いていく同志のような存在となった密子と夏。自然と密子からはビジネスライクな雰囲気が消え、幼い頃自分にとってご馳走だったかき氷を姉と食べた思い出を夏に語る。もう一つ、大きな謎として残っているのが、密子の姉・鞠子の死の真相だ。密子が謙一から夏たちをサポートするように依頼されたというのは嘘で、本当の目的はそこにあった。

 夏を邪魔するように丈晴をそそのかしたのは九条家の人間であり、自分たちの目的のためなら手段を選ばないその非道さも明らかになった第4話。鞠子が命を落とした火事の現場にたまたま居合わせ、そこから足早に立ち去った人物を目撃したという丈晴は、何者かにビルの屋上から突き落とされる。その直前、丈晴が密子たちに伝えようとしていたのは遥人(上杉柊平)の名前だった。記者を雇って密子の素性を調べさせ、その過酷な人生を知った遥人。一瞬、密子に対し同情するそぶりを見せていたが、本当に彼が謙一のプロジェクトを破滅させるために鞠子を殺めた犯人なのだろうか。

■放送情報
『マル秘の密子さん』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:福原遥、松雪泰子、上杉柊平、清水尋也、志田彩良、吉柳咲良
脚本:丑尾健太郞、藤岡明子、上野詩織、ばばたくみ
演出:中茎強、小室直子、伊藤彰記、苗代祐史
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:鈴木亜希乃、柳内久仁子
音楽:Ken Arai
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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