『西園寺さんは家事をしない』楠見の“変化”を松村北斗が好演 西園寺さんに芽生えた感情

 “家族”はただでさえ閉じられてしまいがちな関係性だからこそ、西園寺さんのように少し距離のある人間がそこに加わることで、開けた関係性にしていけた方が健全なのかもしれない。西園寺さんのお節介が功を奏し、里美と瑠衣やルカのことを話し合える関係性を築けた楠見はまた一枚鎧を脱ぎ捨て、柔和な表情を見せることができていた。楠見も楠見で、近くにいたのに妻が亡くなってしまったことをどこか自分のせいだと負い目に感じているところがあったのかもしれない。だからこそ誰にも頼らず自力で娘を育て上げようと頑ななまでに姿勢を崩せなかったところもあるのだろう。

 硬派で何事もそつなくこなしているかに見えて、不器用さも滲む楠見役を好演している松村は、楠見が周囲に対して作っている見えないバリアを上手く表現している。だからこそ、言葉少なで一見つっけんどんな印象を与える楠見の中で巻き起こる心境の変化を、相手との距離感の違いで自然と見せてくれている。

 これまでは西園寺さんから誘われても断っていた晩酌を楠見自らが誘い、2人してグラスに移したビールで乾杯するシーンが観られて安堵した。こんな大人だけのリラックスした時間を楠見が持てたのは1年ぶりなのではないだろうか。そして、あんなに効率至上主義の西園寺さんに唐突に恋心かもしれないこれまでとは異なる感情を芽生えさせられるのも、全て心の内は見せてはくれない松村扮する楠見ゆえだと納得できる。

 さて、“偽家族”には大敵にも思える好意の種に西園寺さんはどう向き合うのか。彼女と前職の元同僚だったことが明かされた料理系YouTuber・カズト横井(津田健次郎)とのプロジェクトも始動するようだが、横井の存在感もさらに増していきそうだ。

■放送情報
火曜ドラマ『西園寺さんは家事をしない』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:松本若菜、松村北斗(SixTONES)、倉田瑛茉、藤井隆、濱田マリ、横田真悠、水澤紳吾、うらじぬの、大朏岳優、塚本高史、野呂佳代、村川絵梨、浅野和之、松井愛莉
原作:ひうらさとる『西園寺さんは家事をしない』(講談社『BE・LOVE』連載)
脚本:宮本武史、山下すばる
主題歌:BUMP OF CHICKEN「strawberry」(TOY'S FACTORY)
演出:竹村謙太郎、井村太一、山本剛義、渡部篤史
プロデューサー:岩崎愛奈、丸山いづみ
編成:吉藤芽衣、平岡紗哉
製作:TBSスパークル
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/saionjisan_tbs/
公式X(旧Twitter):@saionjisan_tbs
公式Instagram:saionjisan_tbs
公式TikTok:@saionjisan_tbs

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