『ヒエラルキー』賛否両論の理由は詰め込みすぎ? イ・チェミンが復讐と恋に揺れる

『ヒエラルキー』詰め込みすぎで賛否両論?

全7話で描くには消化不良? シーズン2に期待

 本作には、カン・ハとジェイ、リアン以外にも強烈なキャラクターが登場する。ジェイとリアンの幼なじみであるヘラは、父親が国内最大の貿易会社を経営している令嬢でモデルのような美しい女性。自称ジェイの親友だが、昔から好意を持っているリアンがジェイに夢中なのが気に入らない。

 そして大統領選に出馬を予定しているほどの大物政治家を父親に持つのがウジン。孤独なリアンの良き理解者だが、チュシン高校の女性教師と不適切な関係を結んでいる。

 奨学生として転入してきたカン・ハは、物語の冒頭、車でひき殺された生徒の二卵性双生児の弟で、兄の死の真実をつかむために転入してきた。目的を達成するため邁進するかと思いきや、ジェイに恋心を抱くなど恋愛模様も描かれる。そして、リアンはジェイに近づくカン・ハを目の敵にする。

 当初は、チュシン高校のトップに君臨する4人VSカン・ハという構図になるかと思ったが、ジェイがリアンに突然別れを告げ、カン・ハと付き合う振りをしたり、そのタイミングでヘラがリアンにアプローチをかけてクイーンの座を奪おうとしたり、女性教師と不適切な関係を結んでいるウジンがヘラへの恋心に気付いて女性教師を裏切ったりと、4人の中でさまざまな出来事が起きる。

 カン・ハも仲間を募って兄を死に追いやった人々に制裁を受けさせようとするものの、ジェイへの好意が邪魔をして仲間割れの危機に陥る。

 復讐劇を描きたいのか、青春真っただ中の高校生(……というには、爽やかさが皆無だが)の恋愛模様を描きたいのか、財閥の苦悩を描きたいのか、どれも消化不良になった感が否めない。恐らく全7話に収まるように、物語の後半、怒涛の展開が繰り広げられたため、いまひとつキャラクターたちの心の動きについていけなかったところに原因があるかもしれない。

 だが、カン・ハの本心は、第7話のタイトルロールが終わったあと、エピローグで描かれているシーンがすべてを象徴している。リアンの謝罪を一切受け入れず「一生罪悪感に苦しめ。僕は絶対に許さない」と言い放ったカン・ハの復讐は終わっていないのではないだろうか。

 教室で何者かに殺害された生徒。血だらけの被害者を呆然と見つめるリアンたち。「驚いた? リアン」という謎のメッセージとスマホを見てニヤリと笑うカン・ハ。「トップで卒業したい」とジェイに告げていたカン・ハだが、成績だけでなくすべてにおいて、チュシン高校のトップとなるのを目指しているのかもしれない。

 シーズン2があるとするなら、ジェイ、カン・ハ、リアンたちがどのような立ち位置で戻ってくるのか、消化不良を解消してくれることを期待したい。

■配信情報
Netflixシリーズ『ヒエラルキー』
Netflixにて独占配信中
出演:ノ・ジョンウィ、イ・チェミン、キム・ジェウォン
原作・制作:ペ・ヒョンジン、チュ・ヘミ

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