台湾映画『流麻溝十五号』本予告公開 不条理な出来事に立ち向かう女性たちの姿が

 7月26日よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほかで公開される台湾映画『流麻溝十五号』の本予告が公開された。

 本作は史実を基に、実在した幾人の命を3人の女性に投影し、家族や生活、さらには名前すら奪われつつも、信念を曲げず、真の自由が訪れることを切望した台湾の人々の物語。

 台湾には第二次大戦後、恐怖政治下で戒厳令が敷かれていた「白色テロ」という時代があった。台湾の緑島には「白色テロ」が始まってから30年以上もの間、政治犯収容を目的とした教育施設と監獄が置かれており、そこには高校生や活動家、モダンダンサーなど年齢も育ちも異なる人々が捕らわれていた。映画のタイトルとなった「流麻号十五号」は、身分も年齢も違う女性たちが緑島で収容されていたときの住所だ。

 監督を務めたのは、これまでも一貫してジェンダー平等の視点から数々の作品を手がけてきた周美玲(ゼロ・チョウ)。高校生・余杏惠を、シンガーソングライターとしても活動する余佩真(ユー・ペイチェン)が演じた。さらに、モダンダンサー・陳萍役で連俞涵(リェン・ユーハン)、一児の母で看護師でもある嚴水霞役で『彷徨う花たち』の徐麗雯(シュー・リーウェン)が出演している。

 1953年、自由を口にするものは政治犯としてすぐに捕まる時代。政治的弾圧が続く中、 罪を課せられた者は思想改造および教育・更生のため緑島に収監されていた。連行された者たちは、名前ではなく番号に置き換えられ、囚人として「新生訓導處」に監禁、重労働を課せられる日々を余儀なくされた。純粋な心を持つ、絵を描くことが好きな高校生・余杏惠(ユー・シンホェイ)。子どもが生まれて間もなく投獄された正義感の強い、看護師・嚴水霞(イェン・シュェイシア)。妹を拷問から守るため自首して囚人となった陳萍(チェン・ピン)。次々と迫る不条理に対しても思考は止めず台湾語、北京語、日本語などあらゆる言語を駆使しながら一日一日を生き延びようと過ごす人々。時の為政者は何をしてきたのか。考えることは罪なのか。これまで閉ざされていた歴史に、また一つ光が射す。

本予告『流麻溝十五号』7/26公開

 公開された本予告は、主要登場人物である高校生の余杏惠(余佩真)、モダンダンサーの陳萍(連俞涵)、一児の母で看護師でもある嚴水霞(徐麗雯)の表情をとらえつつ、当時の不条理な出来事の数々に対し、自身の思いを曲げずそれぞれのかたちで立ち向かう様子が映し出されている。

■公開情報
『流麻溝十五号』
7月26日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開
出演:余佩真(ユー・ペイチェン)、連俞涵(リエン・ユーハン)、徐麗雯(シュー・リーウェン)、徐韜(シュー・タオ)莊岳(ジャン・ユエ)
監督:周美玲(ゼロ・チョウ)
脚本:周美玲、吳旻炫(ウー・ミンシュアン)
原作:曹欽榮(ツァオ・シンロン)
配給:太秦
2022年/112分/台湾/DCP/5.1ch/日本語字幕:青井哲人+亭菲
©thuànn Taiwan Film Corporation
公式サイト:https://ryumako15.com/

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