『アンメット』“大迫”井浦新の深い愛情 杉咲花と若葉竜也による長回しの対話シーンが圧巻
結果として浮かび上がってきたのは、ミヤビに対する大迫の愛の深さだ。と言ってもそれは性愛と異なっており、家族ぐるみの付き合いから生まれた先輩として見守る愛情に近い。ミヤビとの関係で、劇中で大迫と対比されているのが三瓶である。ミヤビのためにリスクを取る三瓶は一見すると無謀なエゴイストに見えるが、自分の身を投げうってでも目の前の患者を救おうとする三瓶は、苦しみの渦中にいる患者と家族にとって心強い味方である。
これまで大迫と三瓶は医療に対するスタンスの違いが強調されてきた。しかし、ミヤビのために西島の野望を食い止める大迫のあり方は三瓶と相似形を描いていた。西島に指摘されて気付いただけで、ミヤビを救いたい気持ちはずっと大迫の中にあった。
ミヤビの回復を祈り、待つ人だった三瓶の思いが報われた第9話。信頼が芽生え、記憶がつながって、失われた関係が修復されていく。仰々しい言葉ではなく、互いを知るための他愛のないやり取り、そこから語られる三瓶のファミリーヒストリー。役を生きるという言葉が誇張されて響くくらい、目の前に差し出された思いをそのまま素手で触れてしまえるような、杉咲花と若葉竜也の長回しによる対話が多くの人に届いたことを信じてやまない。
■放送情報
『アンメット ある脳外科医の日記』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:杉咲花、若葉竜也、岡山天音、生田絵梨花、山谷花純 尾崎匠海(INI)、中村里帆、安井順平、野呂佳代、千葉雄大、小市慢太郎、酒向芳、吉瀬美智子、井浦新
原作:子鹿ゆずる(原作)・大槻閑人(漫画)『アンメット-ある脳外科医の日記-』(講談社『モーニング』連載)
脚本:篠﨑絵里子
音楽:fox capture plan
主題歌:あいみょん「会いに行くのに」(unBORDE/Warner Music Japan)
オープニング曲:上野大樹「縫い目」(cutting edge)
演出:Yuki Saito、本橋圭太
プロデューサー:米田孝、本郷達也
制作協力:MMJ
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/unmet/
公式X(旧Twitter):@unmet_ktv