山下智久は“闇”を抱えた役がハマる 『ブルーモーメント』で体現する喪失感と情熱のバランス

 衝撃的な展開で幕を閉じた『ブルーモーメント』(フジテレビ系)第7話。土石流によって、大きな被害が起こる可能性があった介護施設に出向いた晴原柑九朗(山下智久)は、危険が及ぶ前に施設利用者を避難させた。しかし、不測の事態が起こり、彼自身が土石流に飲み込まれそうに……。そんな晴原を助けたのは、上野香澄(平岩紙)だった。

 5年前、園部灯(本田翼)と一緒にいた上野は、彼女が危険な目に遭うと知りながら、豪雨の中に飛び込もうとする灯の手を離した。5年間晴原も苦しんでいたが、彼女も苦しんでいたのだ。上野は晴原に「生きて」との言葉を残し、土石流に飲み込まれた。

 6月12日に放送される第8話では、SDMが活動停止となり、晴原はSDMに対しても後ろ向きに。不急の研究に没頭していく……というあらすじ。晴原がそうなってしまうのも無理はない。得意の気象学を駆使しながらも、結果的に大切な人を2人も失ってしまったからだ。

 性格的に反感を買う言動や行動を繰り返す晴原は、敵を作りやすい人物である。雪崩事故に取り組んだ際には、SDMを受け入れようとしない救助隊員に向かって「救助のプロのプライドってやつですか。くだらない」と一蹴。のちに仲間となる園部優吾(水上恒司)や、汐見早霧(夏帆)たちともぶつかった。

 ただ、彼の言動や行動には「人を助けたい」、「諦めたくない」という想いがある。現在のSDMメンバーは、彼の想いに触れたからこそ、自ら心に抱えているものと対峙し、乗り越え、チームの一員となった。

 そんな晴原が抱える喪失感と、「命を諦めない」情熱のバランスをうまく体現し、物語に深みを与えているのが山下智久だ。

 『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)、『ランチの女王』(フジテレビ系)、『ドラゴン桜』(TBS系)、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)、『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)など……山下が出演する作品は、観る人の人生を変える大きな力を持っている。「人生の好きなドラマベスト5」に、彼の出演作が含まれている、という人も多いのではないだろうか。それほど、彼の演技は作品を魅力的にするパワーを持っている、ということだろう。

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