“名脇役”平岩紙が発揮する適応力 『ブルーモーメント』『虎に翼』にみる“演技の妙味”

 2024年1月3日に日本テレビ系で放送されたスペシャルドラマ『侵入者たちの晩餐』でも、平岩は脇役でありながら物語には欠かせない役柄を演じた。主人公・田中亜希子(菊地凛子)の同僚で、“犯罪”の立案者でもある小川恵(平岩紙)はお茶目……というわけではないが、人の懐に入るのが上手く、また同時に憎めない人物だった。

 犯罪を行う人に対して、普通なら嫌悪感を感じてしまうところ、豪邸に侵入した際に置いてあった空気清浄機が同じだったことを話すシーンや、賞味期限間近の食材で料理を作ってしまう場面では恵の少し抜けているような一面が描写されており、多くの視聴者を笑いの渦へ巻き込んだ。恵が居なければ確実に『侵入者たちの晩餐』という物語は始まっていなかったことを考えると、まさに彼女は本作のキーパーソン的な存在でもある。犯罪を行っているとは思えない数々の行動や作品のコミカルさを成り立たせていたのは、平岩の“絶妙な存在感”が一役買っていたと言える。

 2019年に放送された『これは経費で落ちません!』(NHK総合)では、先ほどの2作とは打って変わった役を演じた。総務部で働く平松由香利は主人公・森若沙名子(多部未華子)にどこか似たオーラを感じる女性。同僚と群れることなく、淡々と仕事に励む姿はまさに“令和を生きる女”だ。夏季休暇中の過ごし方について聞かれた際も「有給取得は社員の権利なので休んでいただけ」と答え、上司を唖然とさせていた。

 コーヒーメーカーで社員たちにコーヒーを入れて回る、いわば“お茶汲み文化”を大切にする横山(伊藤麻実子)と対立し、自分の好きな時に淹れれば良いとコーヒーサーバーの稟議書を出した平松。一見すると必要以上にコミュニケーションを取りたがらない人物……という印象だが、第4話終盤で森若にコーヒーサーバーを設置したい理由を問われた時の返答は、彼女らしい周りへの心遣いが垣間見えた。

 主人公ではないが、子持ちの母親やバツイチなどさまざまな役柄をこなし、唯一無二の存在感を放つ平岩。『ブルーモーメント』ではまだまだ“名脇役”としての平岩の好演が観られそうだ。

■放送情報
『ブルーモーメント』
フジテレビ系にて、毎週水曜 22:00~22:54放送
出演:山下智久、出口夏希、水上恒司、岡部大、仁村紗和、夏帆、平岩紙、音尾琢真、田中圭(友情出演)、本田翼、真矢ミキ、舘ひろしほか
原作:小沢かな『BLUE MOMENT』(BRIDGE COMICS/KADOKAWA)
脚本:浜田秀哉
演出:田中亮、森脇智延、下畠優太
制作プロデュース:古郡真也
プロデュース:高田雄貴、栗原彩乃
音楽:佐藤直紀
主題歌:ボン・ジョヴィ「レジェンダリー」(ユニバーサル ミュージック)
挿入歌:山下智久「Perfect Storm (feat. TAEHYUN of TOMORROW X TOGETHER)」
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/blue-moment
公式X(旧Twitter):@bluemoment_cx
公式Instagram:@bluemoment_cx

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