『虎に翼』“ライアン”沢村一樹の登場でコメディ色満載に 戦後も残る“ナチュラルな差別”も

 『らんまん』で要潤が演じた田邊や、『ブギウギ』で新納慎也が演じた松永など、西洋かぶれキャラはもはや近年の朝ドラのセオリー。その中でもとりわけ、胡散臭い久藤は息をするように男女関係なく他人を褒めまくる。寅子のことも“サティー”とあだ名で呼び、フランクに接するが、寅子は絆されない。特に彼女の“はて?”レーダーが発動したのは、「GHQも大喜び」という久藤の発言だ。

 この頃、日本は連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の指導の下で敗戦処理と国民の民主化を行なっていた。そのGHQが五大改革指令の一つとして“婦人の解放”を要請しており、それもあって久藤は寅子を採用したのだ。特別扱いと言ったら聞こえがいいが、ありていに言えば、寅子はGHQのご機嫌取りに利用されたのである。

 「憲法が真の意味で国民に定着するかどうかも定かではない」と桂場が寅子の採用に難色を示したように、憲法が新しくなっても、女性というだけで散々色眼鏡で見られていた頃から何も変わらない扱いにがっかりしつつも、寅子は家族を養い、直明(三山凌輝)の学費を稼ぐためにも久藤の下につく。職場は男性ばかりで、その様子を見るに誰一人として寅子のことを仲間として受け入れてはいない。コミカルな展開ながらも、今後の問題提起につながる要素がちりばめられた第46話。寅子の存在が、ナチュラルな差別意識を感じる久藤や同僚たちにどんな影響を与えていくのかが見ものだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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