『虎に翼』花江「生きてるうちにお別れできる」の説得力 おかしみと愛に満ちた直言の最期

 優三の死を隠していたことを明かし、深々と頭を下げる直言だが、しんみりとした空気が直言の本音によっておかしみに変わっていく。「トラが結婚した時、正直、優三くんかあと思った」という本音に始まり、「寅子の夫は花岡(岩田剛典)くんと思い込んでた」「はる(石田ゆり子)さんが怖くて残業って嘘ついて飲みに行ったりしたこともある」「直明(三山凌輝)が出来過ぎる子だから、本当に俺の子なのかと疑ったことがある」「花江ちゃんがどんどん強くなって嫌だなと思ったこともある」と次々出てくる告白に、思わず吹き出してしまった。直言を演じる岡部は病で弱った姿をまといながらも、普段通りの、どこか頼りないが家族思いで優しい父を演じきった。寅子に「えっ、まだ続く?」と制止され、「あと少しだけ」と懇願する絶妙なかけ合いが面白い。

 何度直言が謝ろうとも、優三の死を隠していたことは許しきれない寅子だが、父が正直な気持ちを吐露するのを前に、女子部に行ってもいいって言ってくれたのは直言だけだったと口にした。

「どんな私になっても、私をかわいい、かわいいっていっぱい言ってくれたのは、お父さんだけ。それは、この先も変わらないから」

 語り部(尾野真千子)によって、数日後に直言が静かに息を引き取ったことが語られる。許せないという感情を肯定しながら、寅子が育ったあたたかな家庭の姿のまま、直言の死を描く演出が心に沁みた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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