『虎に翼』上川周作の柔和な笑顔に癒やされる 直道の「俺には分かる」に滲み出る優しさ

 NHK連続テレビ小説『虎に翼』第5週「朝雨は女の腕まくり?」が放送された。直言(岡部たかし)が無事に無罪となり、寅子(伊藤沙莉)たちは胸を撫で下ろす。今週は改めて猪爪家の強い絆が印象に残る週となった。すっかり心が折れたかのように思われた直言は、寅子の機転や、はる(石田ゆり子)の日記帳に助けられ無罪を勝ち取る。家族の力でひとつのピンチを乗り越えた猪爪家の中で、良い味を出しているのが兄の直道(上川周作)だ。

 直道は、『虎に翼』第1週目から、どこか憎めない愛嬌のある姿を視聴者に印象づけてきた。寅子が「スンッ」としてしまう女性たちに疑問を抱いている時に、寅子とは違った価値観を持つ花江(森田望智)と家庭を持つなどして、 “角(かど)のない人生”を歩んでいる。その一方で、寅子のことを応援する妹想いの優しい兄だ。

 直道を演じる上川周作は、京都造形芸術大学映画学科俳優コースを卒業し、現在は劇団大人計画に在籍中。実は朝ドラへの出演は、『べっぴんさん』『まんぷく』に続いて3作目である。特に『まんぷく』では、“泣き虫名木くん”こと名木純也役での泣き芸がSNSで大きく話題になった。昨今は映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023年)の寺岡役や、『テレビ東京×WOWOW 共同製作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官 Season1』の阿部直樹役などで活躍の場を広げている。

 そんな上川が表現する直道の魅力は、柔和な笑顔と、的はずれながらも優しさの滲み出る「俺には分かる」だ。第22話では、「俺には分かる。父さんは悪者顔なだけで悪いことができるたちじゃないだろ」などと、フォローのつもりで思わぬ本音を漏らしてしまうことも。だが第15話で、花江が義母であるはるに胸の内を明かしたときには、「俺は花江ちゃんの味方。花江ちゃんが一番。だから、この家、出ようかな」とさらりと別居を提案し、妻に優しく寄り添える頼もしさも見せる。

関連記事