『デススト』『ゼルダ』『マイクラ』も? “大衆向け”に留まらない注目のゲーム原作作品

 制作体制の変化、そしてもう一つは評価の部分にも注目したい。先述の通りゲームの映像化は興行的な成功を狙ったものが多く、必然的にド派手なブロックバスター作品に偏る傾向があった。雑な言い方をしてしまえば「大衆向け」のエンタメ性を重視した作品が中心で、となると「数字」は取れても「評価」の面ではまた違ったものになる。もちろん数字を取れているということは評価されている証でもあるのだが、横軸的な一過性の消費ではなく、縦軸的な映画/ドラマ史における地位の確立をできてきたかというと、また別軸だったといえるだろう。しかし近年は、そうした棲み分けが崩れてきている。

『THE LAST OF US』©2022 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.

 その好例が、『THE LAST OF US』だ。生みの親であるニール・ドラックマンが『チェルノブイリ』のクリエイター、クレイグ・メイジンと組み実写ドラマ化した本作は、ドラマ界のアカデミー賞といわれるエミー賞にビデオゲームの実写化作品として初のノミネートを達成。しかも作品賞(ドラマ部門)、主演女優賞、主演男優賞など24ものノミネートを獲得したのだ。本作はエピソード監督に『デアデビル』『アンブレラ・アカデミー』のピーター・ホアー、第71回カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ受賞作『ボーダー 二つの世界』のアリ・アッバシら辣腕クリエイターを起用。ペドロ・パスカルとベラ・ラムジーという『ゲーム・オブ・スローンズ』出演者の演技も高く評価され、第3話では原作ゲームの登場人物を別視点&別ストーリーで描き、「感動的」と絶賛を浴びた。すでにシーズン2の撮影も始まっており、さらなる飛躍に期待が高まる。

 『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『THE LAST OF US』そして『DEATH STRANDING』。三者に共通するのは、IP保有者が原作愛をしっかりと打ち出しながら他者の作家性を尊重しつつ、映画ならではのクリエイティブを生み出そうとしていること。この要素は『THE FIRST SLAM DUNK』『BLUE GIANT』『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』といったアニメーション映画にも共通するものであり、今後のメディアミックスの成功ポイントとしてより重視されていくはずだ。

参考

※ https://www.kojimaproductions.jp/ja/A24-announcement

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