竜星涼、一癖も二癖もある隆家役で『光る君へ』に登場 三浦翔平と“嫌な兄弟”に

『光る君へ』竜星涼、三浦翔平と嫌な兄弟に

竜星涼が『ちむどんどん』で徹底したダメ男像 “沖縄”から“お茶の間”の一番星に!

ついにあのニーニーが、“沖縄の一番星”から“お茶の間の一番星”としての輝きを得た。  沖縄出身のヒロインとその周囲の人々の姿を…

 隆家を演じている竜星涼といえば、2022年に放送されたNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』で、黒島結菜演じる主人公・暢子の兄・ニーニーこと賢秀を演じていた。金銭トラブルが絶えず、家族に散々迷惑をかけてきた賢秀はトラブルメーカーで、竜星はそんな朝ドラ定番の“ダメ男”を演じ切っていた。なお、賢秀の短所的な意味での調子の良さをコミカルに演じていた竜星だが、隆家にもそのコミカルさがうかがえる。定子の「香炉峰の雪はいかがであろうか」という清少納言への問いかけに「なんのこと?」と聞くとぼけた顔にはおかしみがあった。他の場面においては皮肉っぽさが際立つ隆家だが、この少し抜けた表情に自信家の伊周とは違う親しみが感じられた。

 また隆家は、中関白家の誰よりもその場の空気を読んで行動しているように思える。一条天皇(塩野瑛久)らの演奏で伊周が舞を舞う中、隆家は退屈そうな顔で酒を飲んでいた。伊周から「お前も舞え」と言われ、一度は断る隆家だが、兄の高圧的な態度を見ると意向を汲む。隆家が腹の中で兄の伊周と姉の定子にどんな思いを抱いているのかは定かではない。かつて道兼は自身の鬱屈した思いを他者にぶつけてきたが、隆家は腹の底にある感情をうまく抑えながら器用に立ち回っている印象だ。特に、隆家演じる竜星が舞を舞いながらみせた伊周を挑発するような顔に隆家の巧みさが感じられた。

 隆家には大物感もある。登華殿に詮子が現れ、一同に緊張が走る中、隆家は平常心だった。詮子をそれとなく追い払う道隆や伊周と違い、隆家の詮子への向き合い方は、達観した視線で家族や政を見る道長にどことなく似ている。隆家が中立的な感覚で他者と向き合うからだろう。舞の最中にやってきた詮子に対し、「あ、誰か来た」と言ってのけ、悠然と頭を下げる姿には気骨がある。弘徽殿で起きた火事についても、一切焦る様子はなく余裕ある表情で「女院かもなあ」と口にした。「妬まれて結構ではありませんか。父上も姉上も兄上もようやく妬まれる立場になられたのですから」と笑ってみせた隆家は、「女院でなければ、父上を恨んでる人ですよ。大勢いるでしょ」「兄上だってわかるだろ、それぐらい」と神経を逆撫でするような物言いを続けた。

 伊周も隆家も人物像には違いはあるが、神経に障るような言動を見せることからよく似た兄弟とも言える。さまざまな人からの妬みを買っている中関白家の将来に、この兄弟はどのように影響を及ぼすのだろうか。

■放送情報
『光る君へ』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/ 翌週土曜13:05〜再放送
NHK BS・BSP4Kにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送
出演:吉高由里子、柄本佑、黒木華、井浦新、高杉真宙、吉田羊、高畑充希、町田啓太、玉置玲央、板谷由夏、ファーストサマーウイカ、高杉真宙、秋山竜次、三浦翔平、渡辺大知、本郷奏多、ユースケ・サンタマリア、佐々木蔵之介、岸谷五朗、段田安則
作:大石静
音楽:冬野ユミ
語り:伊東敏恵アナウンサー
制作統括:内田ゆき、松園武大
プロデューサー:大越大士、高橋優香子
広報プロデューサー:川口俊介
演出:中島由貴、佐々木善春、中泉慧、黛りんたろうほか
写真提供=NHK

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