『シティーハンター』はなぜ愛されるのか? Netflix版で描かれる“はじまりの物語”に注目!
さて、気になる本編の方だが、シティーハンターへの依頼の暗号“XYZ”と共に「妹を探してください」と書かれた伝言板をもとに、獠は行方をくらました有名コスプレイヤーくるみの捜索を引き受ける。槇村は妹の香の誕生日を祝うため待ち合わせ場所に向かうが、そこで悲劇が起きてしまう……。Netflix映画『シティーハンター』が、これまでの映像化作品と異なるのは、「槇村香がいかにして冴羽獠とバディの関係を築いて行くか」を描く、原作でもアニメでも描かれたことがない“はじまりの物語”という点。本作は、旧来からの熱心なファンには興味深く、初見の人も予備知識なしで楽しめるだろう。そして、槇村香を演じる森田望智は、兄への想いを獠に打ち明けるエモーショナルな芝居が実に見事だ。
今回の実写版は「コスプレイベント」「SNS」「新宿の家出少女」といった現代的要素を随所に散りばめつつ、さらにもうひとつ、特筆すべき点がある。事件の背後に「エンジェルダスト」が絡んでいることだ。原作既読組は当然として、2023年の劇場用アニメを観た人もピンと来る、『シティーハンター』の世界と深い関わりを持つ禁断の麻薬の名がエンジェルダストである。そして華村あすかが演じるゲストヒロイン・くるみは、この薬の鍵を握る重要人物とだけ言っておこう。
原作者の北条が「海外のファンの方たちが、新宿じゃなきゃダメだっていう理由が分かった気がしましたね」と完成作品にコメントしているように、本作は新宿の地元商店街、行政関係者、警視庁・新宿署など各関係者の全面協力のもと、歌舞伎町を中心に大規模なロケーションを行い、新宿の街が舞台である『シティーハンター』の世界観をたっぷり表現している。やさぐれた刑事役がハマる杉本哲太や、新宿一帯を仕切る阿久津組の組長・橋爪功などのベテラン陣に加え、有名コスメブランドの社長役の水崎綾女に、その部下の片山萌美と女優たちも華を添え、物語を大いに盛り上げる。
アニメと原作を読み込んで制作に臨んだ佐藤祐市監督や、『シティーハンター』の大ファンという谷本峰アクション監督のこだわりが発揮された銃撃戦は尻上がりに激しさを増し、「人気アニメの実写映画はちょっとなぁ……」と日頃は敬遠する人を、きっと釘付けにするだろう。「もしも現代にシティーハンターが本当にいたら?」を念頭に、主演・鈴木亮平をはじめ、とんでもないほどの原作愛を持つ人々が集まって本気の映像化に取り組んだNetflix映画『シティーハンター』。TM NETWORKによるお馴染みのエンディングテーマ「Get Wild Continual」のイントロがどのタイミングで流れてくるかも含め、熱烈なファンも、この機会に初めて触れる人も、是非観ていただきたい。
■配信情報
Netflix映画『シティーハンター』
Netflixにて、4月25日(木)世界独占配信
出演:鈴木亮平、森田望智、安藤政信、華村あすか、水崎綾女、片山萌美、阿見201、杉本
哲太、迫田孝也、木村文乃、橋爪功
原作:北条司『シティーハンター』
監督:佐藤祐市
脚本:三嶋龍朗
エンディングテーマ:TM NETWORK「Get Wild Continual」(Sony Music Labels Inc.)
エグゼクティブ・プロデューサー:高橋信一(Netflix)
プロデューサー:三瓶慶介、押田興将
製作:Netflix
制作:ホリプロ
制作協力:オフィス・シロウズ
原作協力:コアミックス
©北条司/コアミックス 1985