『イップス』“絶不調”にして“絶好調”なバディ誕生! 篠原涼子とバカリズムの絶妙な会話劇
ミコが事件を解決に導いていくのは小説の取材のため。ここぞという時に犯人を追い詰められない森野にとっても、自身の背中を強引にも押してくれるミコはある種の絶好のバディ相手となっている。ユニークだったのは、SNS上のDM空間で2人が会話をする演出。アカウント上はミステリー作家の黒羽ミコとアンチ・ノモリのやり取りだが、やがてイップスに悩む2人がなんとか現状を打破したいともがこうとする思いで共鳴していく。
『イップス』は『古畑任三郎』(フジテレビ系)を例にした倒叙形式でストーリーが進行していく。つまりは、はじめから第1話の犯人は熱波師・電撃ウィッチ麻尋(トリンドル玲奈)と分かった上で、ミコと森野がどのようにトリックを見破っていくのか、というのが見ものとなっている。斬新だったのは、第2話は「金の亡者!インフルエンサー生配信、生殺人!」、第3話は「お花畑!おバカな二世議員の完璧なトリック」、第4話は「甘くない!パティシエの逆鱗!」、第5話は「殺人は裁判中!法廷画家は妻のために…」とサブタイトルだけとはいえ、予告でこれからの展開を一気に視聴者に教えてしまうというもの。そして次回の犯人を演じるのは、藤原季節。毎話ゲスト=犯人というフォーマットで進んでいくのだろう。
短い時間ながらラストにはミコの弟で弁護士の黒羽慧(染谷将太)が登場。さらに、森野がミコのサインが入った小説を手にし、ページをめくるとそこには大量の書き込みが入っているという意味深なインサートもあった。「小説が書けない」「事件が解けない」という2人のイップスは治るのか。そもそも治ってしまったら、このドラマ自体が破綻してしまいそうだが――何はともあれ、絶不調にして、絶好調なミコと森野のバディがここに誕生した。
■放送情報
『イップス』
フジテレビ系にて、毎週金曜21:00~21:58放送
出演:篠原涼子、バカリズム、渡辺大知、味方良介、足立英、勝村政信、角田晃広、矢本悠馬、染谷将太
第2話ゲスト:藤原季節、細川岳ほか
脚本:オークラ、森ハヤシ
演出:筧昌也
プロデュース:宮﨑暖
プロデューサー:熊谷理恵
制作著作:フジテレビ
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