『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』服部平次に惜しみない拍手を送りたい

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、コナンの推しカップルは平次と和葉の押野が『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』をプッシュします。

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』

 『名探偵コナン』もいつのまにか原作が30周年を迎え、劇場版も本作でついに27作目。これまで実に様々な事件がコナンたちの身の回りで巻き起こり、それに伴い登場人物もどんどん増えていった。そのなかでは、工藤新一と毛利蘭をはじめ数々のカップリングも存在するわけだが、『名探偵コナン 迷宮の十字路』をキッカケに服部平次と遠山和葉を推している自分にとっては、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』でもその関係に進展があるのかが最も関心を寄せるところだ。

 そんな視点から見ると、今回の登場人物で気になっていたのは平次を「未来の旦那さん」と呼ぶ大岡紅葉で、この紅葉には申し訳ないが、三角関係が着火剤となって平次と和葉の恋も燃え上がり爆発するのでは、と鑑賞前は思っていた。だが、予想とは違う方向に物語は二転三転し、「これを待っていた」という結末に辿り着いたのだった。

 まず本筋となる「新選組副長・土方歳三にまつわる刀」を巡る争奪戦について触れておくと、当たり前ではあるがこれが面白い。わかりやすく違和感があったところはもちろん、まさかこれが繋がってくるとは、という些細なことまで、ありとあらゆることが伏線となる。目を離せないとはこのことだ。

 そしてアクションが派手だ。本作を手がけた永岡智佳監督は、『名探偵コナン 紺青の拳』でも京極真の人間の域を超えた大暴れを楽しませてくれている。その手腕は遺憾なく発揮されていて、みんな動く動く。劇場版の名物、コナンのターボエンジン付きスケートボードの爆走にも匹敵、あるいは凌駕する迫力。静と動の描き分けも素晴らしく、まさに劇場版クオリティをしっかり堪能できた。

 北海道・函館を舞台にした目まぐるしい展開とアクション、テンポよく叩き込まれる謎と閃きにグイグイと引き込まれる。その一方で、同じような熱量で描かれる平次と和葉を巡る人間模様は想像以上のものだった。

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