『名探偵コナン』キッドと新一が似ているのには理由がある? 敵味方を超えた奇妙な関係性

 さまざまなキャラクターが登場し、それぞれにファンを擁する『名探偵コナン』。その中でも特に人気の高いキャラクターと言えば、赤井秀一、安室透、そして怪盗キッドだろう。

 4月12日より全国公開される最新作『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』では怪盗キッドが5年ぶりに作品のキーキャラクターとして登場。その公開に伴い、4月12日の日本テレビ系『金曜ロードショー』では怪盗キッドが同じくキーキャラクターとして活躍する『名探偵コナン 紺青の拳』が放送される。そんな怪盗キッドについて本稿では改めてプレイバック。その魅力を紐解いていく。

 怪盗キッドは今でこそ『名探偵コナン』の主要キャラクターとして活躍しているが、元々は作者である青山剛昌が『名探偵コナン』連載前に連載していた『まじっく快斗』の主人公であった。『まじっく快斗』は青山剛昌が『YAIBA』の連載をスタートしたことで不定期連載となり、今もなお継続中の作品だ。

 アニメ『名探偵コナン』に怪盗キッドが初登場したのは、第76話「コナンVS怪盗キッド」のエピソード。上記の経緯からも怪盗キッドは元々『名探偵コナン』においてはゲストキャラクターという側面が強く、『まじっく快斗』におけるコミカルさは薄れ、ミステリアスな怪盗としてのキャラクターが強調された存在であった。白のタキシードとシルクハット、マントにモノクルという特徴的な出で立ちと整った顔つき、そして月夜を背景に登場するスタイリッシュさも相まって、初登場から『名探偵コナン』ファンの心を鷲掴みにしたのが怪盗キッドであった。その後怪盗キッドは上記した通り元々他作品のキャラクターでありながらも『名探偵コナン』に定期的に登場するようになり、コナンの好敵手として作品に欠かせない存在となった。

 現在も度々『YAIBA』や『まじっく快斗』の登場人物が登場する『名探偵コナン』シリーズ。それは青山剛昌的スターシステム、もしくは青山剛昌ユニバースとも言えるようなスタイルだが、その最初にして最大の成功例がこの怪盗キッドというキャラクターであることはコナンフリークならば全員が認めるところだろう。

 アニメ本編ではもちろん、劇場版作品においてもキーキャラクターとして登場している怪盗キッド。劇場版初登場となった『名探偵コナン 世紀末の魔術師』では今回の最新作でも死闘を繰り広げる服部平次との初邂逅がありつつ、蘭に正体がバレそうになったコナンを助けたり、『名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌』においては同じく『まじっく快斗』からのゲストキャラクターである白馬探に変装し、コナンや平次をバックアップした。特に劇場版における怪盗キッドは、彼自身の目的というよりもキッドなりの正義感や誰かや何かを守るために行動していることが多く、キザな怪盗という顔とは対照的なその姿にグッとく来るファンも多いのではないだろうか。

 そんなキッドのスタンスにはコナンも強く共鳴しており、時には捕まえられる状況であっても事情を鑑みて見逃したり、事件解決へ向けた協力を要請したりと、単なる敵味方の関係でも友人でもない不思議な関係性が生まれている。

 また初登場時に比べ近年では『名探偵コナン』においてもキッドのコミカルな描写は増えつつあり、ただクールでカッコいいというキャラクターではなく、豊かな表情を見せる人間味のある人物として描かれている。そのギャップが、新しいファンはもちろん、古くからのファンも現在に至るまで魅了され続けている理由だろう。

関連記事