本郷奏多、『光る君へ』など好演続く 『ノンレムの窓』遠藤憲一との“癖バトル”に期待

 バカリズム原案のショートショートシリーズ第6弾となる 『ノンレムの窓 2024春』が3月31日22時30分より日本テレビ系で放送される。

 第1話『有終の美』では、遠藤憲一と本郷奏多がW主演を務め、定年も間近に迫った手柄を上げたいベテラン刑事・塩原(遠藤憲一)と自首しようとする容疑者・黒田(本郷奏多)として共演を果たす。

 人間の本質をチクリと刺し、社会への違和感を巧妙に切り取るバカリズムのウィットに富んだ皮肉な笑いや展開に、この2人はまさに適任だろう。

 本郷といえば、大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)で従来のイメージにはまらない花山天皇を好演している。勉強嫌いの女好きという無邪気で、大人になりきれていない、ある意味純粋とも言えるキャラクターだ。若くして天皇という立場になってしまったせいで、周囲と隔離された狭い世界で育った温室育ちの世間知らずでいわゆる“裸の王様”状態。傍若無人ぶりも相まって周囲に本気で叱ってくれる人もいなければ、心から信頼し合える人間にも出会えておらず、簡単に騙され利用されてしまう可哀想な人物でもある。

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 いつもつまらなさそうで手持ち無沙汰な花山天皇は、本郷が演じた映画『キングダム』での成蟜を思い起こさせる。成蟜は嬴政(吉沢亮)の異母兄弟であり、実母が王族の血を引いている自分こそが「純血」であり王にふさわしいとクーデターを起こす人物だ。顔をゆがめながら笑い、終始人を見下した態度をとる成蟜もまた心から信じ合える存在が不在で、何だか空虚にも見えた。

 かと思いきや、『アイのない恋人たち』(ABCテレビ・テレビ朝日系)では女性経験がなく、表面上は人に合わせてはいるものの、実は自身のパーソナルスペースをなかなか他人に明け渡すことのない淵上多聞役を演じた。全くタイプは異なるものの、本郷は周囲に気を許せる相手がおらず自身の殻に閉じこもりがちな役どころを演じることが多いように思える。それは本郷が演じることで、キャラクターの特性が本人の一存だけで引き起こされているわけではないことが暗示されるからだろう。だから、いわゆる嫌われ者役を演じても、憎たらしい部分のみならずそれゆえの悲哀や人間臭さも添えられる。

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