『新空港占拠』も第1話に“秘密”が映っていた? 『大病院占拠』と“ほぼ”同じ構造に
櫻井翔主演の日本テレビ系ドラマ『新空港占拠』第8話では、犬の正体が情報分析官の岩槻(白石聖)だと明かし、獣全員の正体が判明した。しかし、獣内に裏切り者が現れ内紛が勃発。第8話を振り返り、点と点が繋がってきた空港の秘密について考察してみたい。
話が大きく動いた第8話を整理する
鼠/新見大河(ジェシー)が獣チャンネルを乗っ取り、武蔵三郎(櫻井翔)に与えた指令は、武蔵の妻・裕子(比嘉愛未)の罪を暴くこと。
まず、大河が単独行動をとる理由は、「奴ら(人質)を生かしておいては意味がない」という大河の考えに対し、龍/悠月(高橋メアリージュン)は「配信が終わったら人質は解放する。その後の裁きは社会が下す」という復讐の方向性の違いによるもの。1年前の病院占拠事件で、鬼たちが罪を暴いた知事の長門や神奈川県警察本部長の備前らは逮捕されるも数カ月で釈放され、社会に戻って普通に生き続けていることに大河は憤りを感じ、「社会制裁など意味はない、この国を牛耳ってるやつらをまとめてぶっころす。本当の裁きだ」と言う。また、「おれはケダモノになる。この世界に血の雨をふらせてやる」と賛同者を募っていたが、今回、兎/浜松奏(安斉星来)と羊/浜松詩(山本千尋)、猪/松長仁(後藤剛範)、鶏/重原瀬奈(山谷花純)が大河の賛同者だと判明。
そして裕子の罪は、1年前に大河の姉・新見百花が自殺未遂をした際に、まだ息があり救急車で横浜湾岸病院に運ばれるも、SE-MAT(特別救急医療支援隊)のトップで外科部長の棚倉の指示により、「かながわ新空港促進協議会」の会長で横浜ベイサイドホテル代表取締役社長の丸亀洋一の手術を優先したことで、百花の命を救えなかったことを意味していた。裕子は事実を知らなかったと訴えるも、「だから何だ。お前には罪がないと? 結局お前は権力に首を繋がれ飼い慣らされてる。それがお前の罪だ」という考えは、さすがに八つ当たりすぎではないだろうか。しかしここで、かながわ新空港促進協議会と丸亀洋一が繋がってくる。
第1話に映っていた「Mプロジェクト」にまつわるポスター
獣たちが追う「山猫」だが、80年代に陸奥建設を設立し、政界や財界に力を持っていた陸奥哲夫が初代山猫。代わりに山猫と有力者の間に立つ窓口となったのが、当時20代だった友人の北見議員(手塚とおる)。陸奥は10年前に病死し、北見は窓口のふりをして架空の山猫を作りあげ利用していたという流れだ。その初代山猫こと陸奥哲夫が、首都圏における第3の空港の必要性を訴える目的で発足したのが「かながわ新空港促進協議会」。経産省、資源エネルギー庁などの官僚、政治家、経済団体など150を超える団体で構成されている。リストの中の官僚には、北見議員(手塚とおる)の国外逃亡を計画した米沢弁護士(長田成哉)が過去に逃亡させた人物が載っていた。もちろん北見も参加しており、単純に空港建設だけにとどまらない集まりなのが分かる。
大河が丸山の事務所に侵入して奪ったデータにある「Mプロジェクト」のファイルを開くと、「2014年に地下500mで発見」「2018年に採取に成功」「2030年以降に実用化を目指す」と記されている。そして1月14日に横浜ベイサイドホテルで行われる会合が、第1話で北見が見ていたポスターの「NEXT GENERATION CLEAN ENERGY 2050年未来を担う新たな希望」という次世代クリーンエネルギー推進協議会と東西電力が研究開発しているもので、これがMプロジェクトだろう。初代山猫は純粋に空港建設を考えていたが、2014年に地下資源が地下500mで発見された年に陸奥が病死していることからも、2代目山猫が資源開発推進を目論み陸奥を殺していてもおかしくない。資源が見つかったことで、結果的に空港建設は地下資源採掘のカモフラージュになっていると考えられる。
前作『大病院占拠』では「P2計画」としてワクチン開発の研究室を新設した病院に秘密裏で作っていたが、今回のMプロジェクトは資源に直結する空港内で研究室を作っているのだろうか。SE-MATの棚倉外科部長が参加しているのは、人体的にも危険性の高いプロジェクトとも考えられる。しかし、丸亀会長は大河にデータを盗まれたことに対し、県警警備部長の大久保(生津徹)に「お前が綾部(吉田健悟)を使って処理したんじゃなかったのか?」と問い詰め、「今日という日を台無しにするわけにはゆかない」と会合を重視していることからも、もはや現在の山猫は丸亀と言えるのではないだろうか。