全野球ファン必見! 『完全密着 侍ジャパン~WBC全勝優勝の真実~』が捉えた“本気”の思い

 第2話では侍ジャパン初の日系選手ラーズ・ヌートバー選手(セントルイス・カージナルス)の思い、第3話では試合中に負傷してしまった源田壮亮選手(埼玉西武ライオンズ)と急遽出番が回ってきた中野拓夢選手(阪神タイガース)、第4話では不調を乗り越えて劇的な一打を放った村上宗隆選手(東京ヤクルトスワローズ)と快足を飛ばしてホームを駆け抜けた周東佑京選手(福岡ソフトバンクホークス)に迫る。

 印象に残ったのが、負傷で欠場した源田の「自分がチームのために何ができるのかっていうことだけを考えていた」という言葉だ。自分の代わりに出場した中野がタイムリーエラーをしたときは、ベンチで隣に座って「絶対に大丈夫だ」と言葉をかけ続けた。メキシコ戦でホームランを浴びて、マウンドで悲痛な表情を浮かべる佐々木朗希に駆け寄り、真っ先に声をかけたのも源田である。

 図抜けた身体能力と高い技術を持つ侍ジャパンの選手たちだが、それだけではチームは強くならない。きっと全員が多かれ少なかれ、源田のような意識を持っていたのではないだろうか。だから侍ジャパンは強くなったのだ。ちなみに合宿から不調に苦しみ、豪快なホームランを連発する大谷翔平(当時:ロサンゼルス・エンゼルス/ロサンゼルス・ドジャース)のバッティング練習を目の当たりにして自信を喪失してしまった三冠王・村上宗隆を指さして、「負けた? 負けた? 負けた?」と満面の笑顔でとどめを刺しにいったのも源田である。

 絶不調だった村上宗隆は、劣勢だったメキシコ戦での終盤の守備について「記憶にない」「立ちくらみをするぐらいだった」と赤裸々に吐露している。しかし、3打席連続三振の後の第4打席で平凡な三塁ファウルフライに倒れたとき、初めていい感触を掴んだという。勝負の第5打席ではWBCで初めていい気分で打席に入り、逆転サヨナラ打を放った。

 第4打席の後、SNSは村上と栗山監督への非難で荒れに荒れたが、そんな中、本人は不調脱出のきっかけを掴んでいた。これも野球の面白さを感じるエピソードである。第5打席の初球ファウルを見た瞬間、すかさず「ジャパンはこの打者に賭けるべきだ」と語ったアメリカの実況アナウンサーの慧眼にも恐れ入る。さすが野球の本場で鍛えられた目だ。

 第5話は、球史に輝くスーパーヒーロー、世紀の二刀流、泥だらけのクローザー、1000億円の男、大谷翔平。第6話は、「リーダーシップはない。選手を愛しただけ」(出典:THE NIKKEI MAGAZINE)と、らしすぎる名言を放った栗山英樹監督にスポットが当てられている。どちらも見どころ満載である。

 まもなくプロ野球が開幕を迎える。海の向こうのメジャーリーグでも、大谷翔平選手がドジャースに移籍、山本由伸投手が大谷選手のチームメイトになるなど、開幕に向けて盛り上がりが高まっている。球春到来、春こそ野球の季節だ。その前に『完全密着 侍ジャパン~WBC全勝優勝の真実~』を観て気分を高めておこう。野球がさらに面白くなるはずだ。

■配信情報
『完全密着 侍ジャパン~WBC全勝優勝の真実~』
Prime Videoにて独占配信中
作品の視聴には会員登録が必要(Amazon Primeについて詳しくはamazon.co.jp/primeへ)
監督:三木慎太郎
第1話:ダルビッシュ有
第2話:ラーズ・ヌートバー
第3話:源田壮亮&中野拓夢
第4話:村上宗隆&周東佑京
第5話:大谷翔平
第6話:栗山英樹
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