『春になったら』濱田岳が一世一代のフリップ芸を披露 冬のキャンプで雅彦が見たもの
この時のためにあったのかと地団駄を踏んでしまう「僕が好きだよ」は、目の前で観たらきっと筆者が泣いていた。なおギャグそれ自体のキレはいまいちで、義父(予定)の雅彦が連呼する「認めます!」のほうがおもしろいのは何ごとかといぶかしんだが、今回はこれでいいのだ。一馬の言葉は、家族になる人たちに向けた愛情そのものだったのだから。
「雅彦さん、良かったね」と思う自分がいる。人ひとりが生きるという、ただそれだけのことを、こんなにも優しく慈しむように紡ぐ『春になったら』は、生きていることがなんだか途方もないことだと気づかせてくれる。広い宇宙にある地球という惑星で生命が生まれ、日本という国の片隅で出会えたこと。生まれ、生きていること。それが奇跡以外のなにものでもないことを圧倒的な解像度で示す。
死を描くことは簡単じゃない。生きている人間は、誰ひとり自らの死を経験していない。死は苦痛、恐怖、暗闇、虚無、静止した時間、ゼロ、宇宙、永遠で表象される。死は想像の領域にあって、さまざまな補助線を引きながら、作為と偶然を駆使して表現される。雅彦が真冬にキャンプに行ったことは象徴的で、来たるべき死への予行演習を兼ねていた。救いもある。雅彦にはそばで支えてくれる家族がいるからだ。第7話が終わり、椎名家の問題が決着した本作はここからが本番である。ドンマイドンマイ!
■放送情報
『春になったら』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:奈緒、木梨憲武、深澤辰哉、見上愛、西垣匠、影山優佳、矢柴俊博、光石研、橋本マナミ、筒井真理子、小林聡美、濱田岳
脚本:福田靖
監督:松本佳奈、穐山茉由
プロデューサー:岡光寛子(カンテレ)、白石裕菜(ホリプロ)
音楽プロデューサー:福島節
主題歌:福山雅治:(Amuse Inc. / Polydor Records)
制作協力:ホリプロ
制作著作:カンテレ
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