『厨房のありす』“好き”を伝え合ったありすと倖生 永瀬廉の“真摯な想い”が涙腺を刺激する
でもだからといって、人を傷つけていいことにはならない。後日、栄太と礼央へのお礼のついでにお弁当を作って届けてくれたありすに、百花は「みんな、あなたが可哀想だから優しくしてくれるだけ」と酷い言葉をぶつける。嫉妬のあまり言わなくてもいいことまで言ってしまったことに百花本人も後悔しているだろうが、一度口に出した言葉は決して元には戻せない。トボトボと帰っていくありすの背中に心まで胸が痛くなる。
だけど、心護や和紗、三ツ沢家のみんながいつも助けになってくれているのは、本当にありすが”可哀想だから”だろうか。そんなことはない。心護が言うように、みんなありすのことが大事だから。人と繋がるために始めた料理で、いつもお客さんを元気にしているありす。助けてもらっているだけじゃなく、ありすもまたみんなの力になっているのだ。そんなありすだから、大切にし、守りたい、助けたいと願う人たちがたくさんいる。倖生もその一人だ。
お店が話題になったことでウェブ雑誌のインタビューを受けることになったありす。しかし、雑誌の記者・小林(村岡希美)はありすが作った料理の話ではなく、ASDのことばかり聞いてくる。「逆境に負けないASDの料理人としてありすにフォーカスしたい」と小林。そこにも百花と同じく、「“ASDなのに”すごい」という無自覚な差別がある。「ありすのお勝手」に集まった客はASDの料理人がもの珍しいからではなく、ありすが作った料理が美味しいからであるにもかかわらず、だ。飲食店の取材なのに、一口も料理を食べないなんて失礼にもほどがある。
その夜、放置された料理の前で落ち込むありすを見た倖生は自分ごとのように怒ってくれた。さらには冷めきった料理を「うまい」と言いながら、ありすの目の前で食べる倖生。いつもそうだが、倖生の不器用でまっすぐな優しさは、永瀬廉の演技からその真摯な想いが伝わってきて私たちの涙腺を刺激する。ありすも気づいたら目から涙が溢れ、「ごめんなさい……私は倖生さんが好きです」と口にしていた。
迷惑をかけてしまうかもしれない。それでも、いつも自分を理解し、そばで励ましてくれる倖生が好きで仕方ない気持ちを何度も伝えるありす。そんな彼女の前で嘘はつけない。倖生はありすを抱きしめ、「俺も、ありすのことが好きだ」と伝える。もしかしたら、この家に来た最初の目的は心護に対する復讐だったのかもしれない。けれど、ありすを思う気持ちに嘘偽りはないはずだ。だって、その表情には、何もかもほっぽり出して好きという気持ちを届けたい相手に出会えた歓びに溢れていたから。
■放送情報
『厨房のありす』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~23:25放送
出演:門脇麦、永瀬廉、前田敦子、大東俊介、北大路欣也(特別出演)、皆川猿時、萩原聖人、木村多江、大森南朋
脚本:玉田真也
音楽:横山克
演出:佐久間紀佳、鈴木勇馬
プロデューサー:鈴間広枝、諸田景子、松山雅則
チーフプロデューサー:三上絵里子
制作協力:トータルメディアコミュニケーション
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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