『ブギウギ』藤間爽子と趣里が涙の抱擁 「東京ブギウギ」が浮き彫りにした人生の明暗

 タイ子には耐えられなかった。心が浮き立つ「東京ブギウギ」は、明暗が分かれた人生のコントラストを残酷なまでに示すものだった。「東京ブギウギ」が一夜にして〈世紀のうた/心のうた〉になったわけではないことを、パンパンガールとタイ子のエピソードは示している。自身も幼子を育てるスズ子にとって、同性からの拒絶は不意打ちに近いショックがあっただろう。

 戦後復興に取り残された人々の代表が、タイ子やパンパンガールといえる。戦争によって家族をなくし、見下されながらも、自分の身一つで生きていく道を選んだ。家父長制の庇護の下にない点はスズ子も同じだ。愛人の子として生まれ、愛助(水上恒司)と籍を入れないまま娘を授かった。「東京ブギウギ」が鳴り響く日本の戦後が、こうした人々によって作られたことは記憶に留めておきたい。

 タイ子やパンパンガールの苦労を誰よりも理解できるのがスズ子である。時を経て繰り返されるおせっかいが、苦しむ友を救うと信じたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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