『グレイトギフト』津田健次郎「俺に忠誠を誓え」 郡司が闇落ちどころか“闇の皇帝”に
ドラマ『グレイトギフト』(テレビ朝日系)第4話では、さらなる「ギフト」の被害者が出てしまう。それが院外感染という最悪のケース。藤巻(反町隆史)が培養していた「ギフト」を何者かが盗み出し、政財界の大物3人を殺してしまったのだ。
その犯人に触れる前に、第3話の気になるラストについて。久留米(波瑠)による「私はただ藤巻先生に好意を抱いているんだと思います。好きだから放っておけないんです」という突然の告白のことである。藤巻は久留米が「ギフト」を巡り、彼女にとっては明らかに不合理な行動を取ることについて問い詰めるが、返ってきたのがこの答えだった。
しかし、その真意は「人間として好きなんです」という、少々拍子抜けするもの。妻・麻帆(明日海りお)と娘のあかり(藤野涼子)がいる身として、「ダメです、不倫なんて」と拒んでみるものの、久留米の本心を聞き、藤巻はどこかがっかりしているような表情にも見受けられる。
「ギフト」の院外感染が発覚し、真っ先にラボにある「ギフト」が盗み出された(すり替えられた)ことを疑う藤巻。当然、久留米も助手として手伝うことを申し出るが、藤巻はこれ以上彼女を危険に巻き込みたくはない。口の固い、一人で抱え込もうとする藤巻に、久留米は分かりやすく「ちぇっ」と一言。さらに追い討ちをかけるように、聞こえるような舌打ち。
動揺する藤巻は、久留米の手のひらで転がされているようにも見える。結局、久留米はなぜ藤巻を援助するのかという疑問は「人間として好き」という感情論を持ってうやむやになりながら、彼女が「ギフト」を最初に使った黒幕なのではないかという藤巻の疑念は完全には晴れてはいない。
「ギフト」を持ち出し、院外感染を起こしていたのは、事務長の本坊(筒井道隆)。「アルカナム」のオーナー・杏梨(倉科カナ)からスパイとして藤巻のことを調べるように依頼されていた本坊は、ラボに仕掛けたレコーダーから「ギフト」に関する全てを知り、「ギフト」を売り捌いていた。本坊の目的は、杏梨に気に入られ、彼女を手に入れること。「強い人が好き」という杏梨の一言に、人を狂わせる「ギフト」の麻薬性が合わさりあい、本坊を“闇の皇帝”へと押し上げていた。そのプランを藤巻に淡々と話す本坊が薄気味悪く、犠牲になった伊集院(盛山晋太郎)を例に、「ギフト」は人を変えてしまうということを強く感じさせる。
久留米が「ギフト」に関わっていることを盾に、本坊は藤巻にさらなる「ギフト」の培養を強迫。その一部始終を盗み聞きしていた郡司(津田健次郎)の指示で、藤巻は偽物の「ギフト」を渡すものの、それがバレてしまう。本坊の先にいるのは、殺人も厭わないバイヤーの君島。「アルカナム」を舞台に、緊迫の「ギフト」交渉がスタートする。
藤巻の代わりに交渉に名乗り出たのは郡司。流暢な語り口で相手の懐にスッと入っていき、本坊との1本500万円を超える、1000万円でバイヤーとの商談を成立させていく。バイヤーから差し出されたのは、祝杯のウイスキー。郡司と藤巻は当然「ギフト」が入っていないか疑ってかかり、試飲として逆に郡司が君島とその部下に酒を注ぐ。ウイスキーを口にした君島らは胸を押さえだし、急性心不全、つまりは「ギフト」で死亡。
郡司がどのようにして「ギフト」を混入させたのか、その種明かしは次回明かされるようだが、郡司が特別個室に入る前、入ってから、そして酒を飲んでからと何度も時計を確認しており、それがトリックに関係しているのだろう。「ギフト」の新たな特性を郡司は把握し、利用したとも考えられる。
何よりも恐ろしいのは、“闇の皇帝”という第2形態へと進化した郡司の姿だ。