『ゴジラ-1.0』北米でトップ10に復活 『パラサイト』を抜いてアジア映画の歴代記録更新
1月26日~28日の北米映画興行は、前週に続いて「無風」の状態が続いた。再び北米拡大公開の新作はないため、顔ぶれはほとんど変わらない。週末ランキングのトップを争ったのは、ジェイソン・ステイサム主演『The Beekeeper(原題)』とミュージカル映画『Mean Girls(原題)』。どちらも公開3週目で互角の戦いを繰り広げている。
速報値によると、第1位は『The Beekeeper』の742万ドル(北米興収4228万ドル)。これを『Mean Girls』の729万ドル(北米興収6080万ドル)が追う形だが、その差はわずかとあって最終的な勝敗は確定値の到着を待つしかない。1月28日(現地時間)にはNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の生中継があり、『The Beekeeper』の主たる客層はこちらに流れるのではないかと予測されているのだ。
先週、1月はホリデーシーズンを終えたばかりであり、さほど大きな動きがないのが通例であると書いたが、それにしても心配なのは今後も大作不足がしばらく続くことだ。2月2日にはヘンリー・カヴィル主演、『キングスマン』シリーズのマシュー・ヴォーン監督による『ARGYLLE/アーガイル』が、2月14日にはマーベル映画『マダム・ウェブ』が控えるものの、イベント的な大作映画は3月の『デューン 砂の惑星PART2』を待つしかないのである。
『哀れなるものたち』再び北米トップ10 “無風の1月”も水面下ではアカデミー賞戦略進む
北米映画興行は久しぶりに大きな動きのない週末を迎えた。1月19日~21日の興行収入ランキングの第1位は、先週と変わらず、青春コメ…
もっとも、映画興行は巨大イベントを控えて別の盛り上がりを見せつつあるとも言える。新作公開とは数字のスケールこそ桁違いながら、アカデミー賞にノミネートされた作品の再上映・拡大上映が、これまた前週に続いて規模を大きくしているのだ。
日本としての最注目作は、やはり視覚効果賞にノミネートされた『ゴジラ-1.0』(2023年)だろう。モノクロ版『ゴジラ-1.0/C』も北米公開を迎え、しかも興行的には同一作品扱いのため、上映館は前週から1516館増の計2051館。週末興行収入は260万ドル(前週比+275.6%)で、再びランキングのトップ10に返り咲いた。
北米累計興収は5500万ドルを突破。『パラサイト 半地下の家族』(2019年)とチャン・イーモウ監督『HERO』(2022年)を抜き、アジア映画としての歴代記録を更新した。海外作品としては『ライフ・イズ・ビューティフル』(1997年、イタリア語・ドイツ語・英語)の5724万ドルが次のライバルだが、『ゴジラ-1.0』は2月1日に北米上映を終了予定。アカデミー賞受賞が叶えば再上映もありうるが、さらなる記録更新には残り時間が短すぎるか。
ちなみに、外国語映画としては『グリーン・デスティニー』(2000年)の1億2807万ドルが圧倒的数字で歴代記録を保持しているが、同作はコロンビア・ピクチャーズ/ソニー・ピクチャーズが製作・配給に参加した米国・中国・台湾・香港の合作映画。東宝が海外配給まで完全にコントロールした『ゴジラ-1.0』とは状況が大きく異なる。
前週の第10位から、今週は第7位にランクアップしたのは、アカデミー賞で11部門にノミネートされた『哀れなるものたち』だ。上映館は前週比900館増の計2300館で、週末興収は304万ドル(前週比+43.1%)。ヨルゴス・ランティモス監督としても、『女王陛下のお気に入り』(2018年)を抜いて過去最高のヒット作となる予感だ。