『ブギウギ』スズ子に“ブギの女王”の風格が芽生える 戦後の苦難を笑い飛ばす力強さ
スズ子は強い。そして、その強さに救われている人は大勢いる。静枝が愛する夫を失い、その夫が命をかけた戦争に日本が負けても、「不安だけど生きてくしかない」と思えたのは。愛助が戦争に加え、病気で自由が制限される中でも、「自分ができることを」と食材となるジャガイモを育て始めたのは。スズ子の生き方そのものである歌の力強さに背中を押されたからに他ならない。まだ苦しみのトンネルから抜けたとは言い難いが、スズ子、愛助、小夜がジャガイモが出来たらどうやって食べるかについて話す場面に心が和む。「何を食べてもご馳走やなんて、それはそれで悪ないなあ」と笑い飛ばすスズ子に、戦後の日本を明るく照らすことになる“ブギの女王”の風格を見た。
かたや心配なのは、善一の行く末だ。彼がいる上海は敵国であり、日本の敗戦後、街では国土の返還を求めるデモ隊の声が鳴り響く。共に音楽会を盛り上げた現地の作曲家・黎錦光(浩歌)は「これからは敵も味方もなく堂々と付き合える」と鼓舞してくれるが、善一は無事に帰国できるかどうかも危うい状況である。前作の『らんまん』から連続で朝ドラ出演となった朝井大智演じる銃を持った男に連れ去られた善一の運命は……。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK