毎熊克哉、役者として“自信がない”からこそ表現できるもの 充実の2023年を振り返る

大河ドラマ・朝ドラへの出演

――2023年は初出演のNHK大河ドラマをはじめ、出演作が続くお忙しい年だったかと思います。あらためて、この1年を振り返っていかがですか?

毎熊:……(熟考した上で)どうだったんでしょうね(笑)。ただ、いろんな挑戦ができた年ではあったと思います。『どうする家康』はほとんど1話だけの出演でしたけど、2024年の『光る君へ』ではわりとしっかり出てくるキャラクターをやらせていただいたので、それもすごく新鮮でした。でも実は、今年の初めに2カ月くらい休みがあったんです。撮ってすぐ世に出る作品が多かったので、“忙しいふう”に見えるのかもしれませんね(笑)。

『光る君へ』直秀(なおひで)写真提供=NHK

――でも、すごくいいことですよね。仕事もプライベートも充実しているっていう。

毎熊:たしかに。この1年は、何かを練習する時間が多かったのも楽しかったです。僕、練習が好きなんですよ。練習というか、できなかったことができるようになるのがすごく好きで。大河ドラマに向けて1月から夏ごろまで馬の練習をしていて、『セクシー田中さん』のダラブッカもそうですし、バッティングの練習とかもしていましたね。

――バッティングですか?

毎熊:僕、野球がものすごく苦手なんです。なので、ちゃんと教えてもらって練習してみました。そうしたら、決して向いているわけじゃないけれど、練習すればなんとかできるもんだな、と。その発見も楽しかったし、とにかくあっという間でしたね。でも、1年の最後の作品が『セクシー田中さん』だったのは嬉しいです。『彼女たちの犯罪』で終わっていたら、現場の雰囲気や関わる人たちは素敵でしたけど、話の内容的にしんどかったので(笑)。

――(笑)。俳優活動をする上で、大河ドラマ出演というのはとても大きなことではないかと思います。

毎熊:僕は正直、そこまで意識したことがないんです。でも、きっとすごく大きいことなんですよね。初めて朝ドラ(『まんぷく』2018年度後期)に出演したときも、自分の中には「朝ドラだぜ!」みたいな気持ちはなかったんですけど、いざ放送されると観ている人の数が桁違いに多いことを実感しました。だから大河も、現場でやっていることは他の作品とそれほど変わらないけれど、きっと放送が始まってから、大変なことだったんだと感じるような気がしています。

これからも役者を続けていく理由

――毎熊さんはもともと映画監督を目指していて、“役者の感覚”を知るために役者を始めたそうですが、そこからずっと役者を続けているのは面白さを感じたからですか?

毎熊:面白さ半分、悔しさ半分ですかね。最初になんとなくやってみたときには、「まったくできない人よりは自分の方が絶対にできるな」と思ったんですけど、何回かやっていくと「あれ? 自分にはまったくできないかもしれない」と思うようになって。結局は圧倒的に「できないかも」と悔しく思う時間のほうが多くて、気づいたら役者をずっとやっている感じです。

――先ほどの「練習が好き」というお話もそうですが、できないことを突き詰めていくほうが楽しいと。

毎熊:そうですね。ただ、役者の場合はスキルよりも重要な要素があると思います。たとえば発声とかは「この高さまで出るようになった」とスポーツ感覚で楽しく練習できるけど、お芝居にはそういう要素はない気がして。今回「なんか掴んだかも」と思っても、別の作品に行くと通用しないことのほうが多いんです。練習をやってもやっても毎回違って、まったく読めない。でも、読めないからこそ面白いのかもしれないですね。

――今後、監督をやりたいという思いは?

毎熊:今はないです。もちろんやったら楽しいんでしょうけど、どうしても自己満足になってしまう気がするんです。素晴らしい監督はいっぱいいるので、自分じゃない方が撮ったほうが、その映画のためになるのかなと思います。

――毎熊さんは本当に幅広いキャラクターを演じられていますが、「あえて違う役をやっていきたい」という思いもありますか?

毎熊:それはすごくあります。自分的にはまだまだだと思うし、数年後にどうなっているかまったくわからない状態の方が面白いなと。笙野のようなキャラクターも僕自身やっているイメージがなかったし、これからも「絶対これは毎熊じゃないでしょう」みたいな役をやってみたいなと思います。やってみてハマらないパターンもあるとは思うけど、それはそれでいいかなって。なるべく役の振り幅が大きい方が自分も楽しいですし、僕は子どもの頃から映画が好きで、「あの作品と同じ人だ!」と気づく瞬間にワクワクしていたので、自分もそうなれたらいいなと思います。

――演じるキャラクターは今後も変化すると思いますが、これからも役者を続ける上でブレずに持っていたいものを教えてください。

毎熊:「まだまだ甘いね」と言われる可能性もありますけど、俳優は特殊な仕事だと思うので、仕事を仕事として割り切れない部分があるというか。だからこそ、「この短い人生の中で、なぜこれをやるのか」という思いは常に持っておきたいです。妥協というか、「これはできません」ということも多々あるとは思うけど、それがあまりに増えると人生がつまらなくなりそうで。自分の中で「どこまでやれるのか」と、一つ一つとしっかり向き合う気持ちを強く持っておかなければいけないなと思います。

――役者に対する思いは、ずっと変わらないですか?

毎熊:変わらないです。これはコンプレックスでもありますけど、役者になりたくてなりたくてなった、熱い役者の人もいるんですよ。でも僕はそういうタイプじゃなくて。役者をやりたいということよりも、「何か作品を作って届けたい」という思いのほうが大きくて、そこもブレていないところです。俳優として演じることで、その作品を良くしていきたい。熱い役者さんには憧れるけど、なかなか感覚は変わらないです。でもそれは、俳優としてまだまだ途中、ということなのかもしれませんね。

■配信情報
日曜ドラマ『セクシー田中さん』
TVer、Huluにて配信中
出演:木南晴夏、生見愛瑠、毎熊克哉、川村壱馬(THE RAMPAGE)、前田公輝、高橋メアリージュン、生駒里奈、なえなの、円井わん、坂ノ上茜、水沢エレナ、星乃夢奈、平野沙羅、西田麻耶、安田顕
原作:芦原妃名子『セクシー田中さん』(小学館『姉系プチコミック』連載中)
脚本:相沢友子
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:大井章生、田上リサ(AX-ON)
演出:猪股隆一、伊藤彰記(AX-ON)
音楽:日向萌
主題歌:「ドレスコード(Prod. imase)」LE SSERAFIM(ユニバーサルミュージック)
©︎芦原妃名子/小学館/NTV
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/tanakasan/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/ntv_tanakasan
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<応募締切>
1月13日(土)

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