2023年の年間ベスト企画

加藤よしきの「2023年 年間ベスト映画TOP10」 “楽しい”という気持ちを大切に

 いよいよ3位ですが、待っていました、我らが怪獣王の帰還であります。4位が童心に帰れる映画なら、こちらは幼い頃の呪いが成仏する映画でした。小学生の頃に「日本はハリウッドほど金がないから、スゲェCGとかに勝てねぇんだよなぁ」と子どもながらに恨めしく思ってから数十年、「これが観たかったんだよ!」と心から大拍手です。本当に、ありがとうございました。そして勝手にいろいろな心配をしていたこと、陳謝いたします。そんでもって2位は、これはもう単純に「よくこんな話を考え付いて、映像化したな」という驚きです。もうアカデミー賞を獲っていますから、今さら極東の中年男性が褒めてもアレかもしれませんが、それはそれとして改めて褒めたいです。

VFXは現在の日本映画最高峰! リッチさ溢れる『ゴジラ-1.0』はまごうことなき邦画超大作

金がかかっていると叫びたい。『ゴジラ-1.0』(2023年)は、まごうことなき邦画超大作である。まず結論から言うと、私は本作を支…

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が超絶技巧で描く普遍的なテーマ

気が狂いそう~(ラーラーラー)♪ やさしい歌が好きで~♪ ああ あなたにも聞かせたい~♪ ……力強く背中を押してくれる系の映画を…

 そして栄えある1位ですが……2023年ベストは『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』に進呈したいと思います。最初に書いた通りいろいろあって明るい気持ちになりようがない状態だったのですが、それでも鉄球と車の追いかけっこが死ぬほど楽しかったので、大したものです。「続編へ乞うご期待!」と言いつつ恐らく次をどうするか何も決めていないであろうエンディングも、疲れていた心を優しく包んでくれたというか、おおらかな気持ちにしてくれました。そして例の鉄球がゴンってなって解決するシーンは、間違いなく今年イチ幸せな気持ちになったと思います。「あと何年くらいで終わるかわからないけれど、とりあえず最後まで付き合うか」という気分にしてくれた映画でした。僕としては大切にしていきたいです。

“バカ騒ぎ”の終局へ 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』の寂しさを含んだ疾走感

いざ! 最後のバカ騒ぎへ! 『ワイルド・スピード』(2001年)は、ストリートで車をブッ飛ばす若者たちの青春映画として幕を開けた…

 残念ながら、私の2023年は元気のない1年になってしまいました。ですが2024年は、鬱病発症時に日常生活を送れるまで回復する支えとなった氷室京介の曲を聴きながら、回復のために時間を使っていこうと思います。映画も意識して、ある意味で無理やりにでもたくさん観ていこうかなと。せっかく東京にいるのですから。氷室京介も「ここは東京だぜ」と言いました。もちろん映画を観に行くまでの心理的ハードルは高いのですが、観ると楽しいのです。年明け早々に公開される『エクスペンダブルズ ニューブラッド』(2023年)や、2月にはマ・ドンソクの『犯罪都市 NO WAY OUT』(2023年)など、期待の新作が待っていますし。楽しいと感じることは楽しんでいきたいものですから。

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