『ブギウギ』スズ子の“道”が浮き彫りとなる富田望生の存在 付き人としての小夜の功績

 小夜の存在意義はそれだけではない。実は、梅丸楽劇団に移ってからのスズ子というキャラクターは、あくまでも歌唱シーンを軸に、キャリアの変容を見せてきた。羽鳥(草彅剛)を師とし、表現を磨いてスターとなっていくさまは華々しく描かれたが、そこに梅丸少女歌劇団(USK)時代のような集団の中での先輩・後輩の関わりはない。しかし、小夜が登場することで、スズ子には“付き人”にあたる人物がいてもおかしくないようなキャリアがあると認識することができるのだ。

 スズ子が乗り越えなければいけない問題は、ライフステージによって変化してきた。出生の秘密、上京、歌唱スキル、表現、父と娘の在り方……。そして今は、立ち上げた楽団の看板歌手としての責任、弟の死、家族との縁になる。しかしこれを見せるだけでは、肝心のスズ子が「今どの立ち位置にいるのか」がなかなか客観視できない。そこに、小夜が登場することにより、スズ子が付き人をとるほどに成長したことや、父や付き人を養えるような存在であると再認識できるように思う。小夜の再登場で、スズ子の歩んできた道が明確に浮き彫りになった気がした。

 SNSでは小夜について「おでん屋で梅吉と2人にするのは素晴らしい気遣いだ」「内に秘めたスズ子の苦しみを吐き出させた小夜、グッジョブ」などの声も上がっている。梅吉が香川に帰ってしまった今、小夜はスズ子にとって今まで以上に頼もしい存在だろう。いよいよ来週からは村山愛助(水上恒司)の出演も分かっている。小夜にはこの先もまだまだ、仕事と生活の両面でスズ子を支えてほしいものだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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