『ブギウギ』水川あさみ&黒崎煌代は“本当の親子”のよう CPも絶賛する台本を超えた芝居

 NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。

 第8週の舞台は昭和14年。第二次世界大戦の足音が迫り、スズ子たち梅丸楽劇団(UGD)では時局に合わせた演出をすべきか、ふだんと同じように明るいエンターテインメントを届けるべきかと模索の日々が続いていた。

 一方、花田家では、六郎(黒崎煌代)のもとに召集令状が届く。赤紙を受け取り、「お母ちゃん! 赤紙来たで!」「甲種合格しても『どんくさいお前には赤紙けえへん』言うヤツおったけど、ちゃんと来たわ。すごいやろ?」と喜ぶ六郎の姿はあまりに切なく、胸が締め付けられた。

 制作統括の福岡利武は「六郎はすごくピュアで、本来ならば周りの人を幸せにするような大人になっていくはずなのに、戦争の時代に生まれたことで徴兵されてしまう。当時でいえば『おめでとうございます』というところですが、切ないですよね」と視聴者に寄り添い、「脚本の足立(紳)さんもこの展開を逆算して六郎の性格を作り上げたわけではなく、あくまで“ピュアさゆえに”ということだとは思いますが、ここは脚本の狙いが冴えたところだと思います」と巧みな構成に唸る。

 言わずもがな、我々がここまで心をえぐられたのは、六郎を演じる黒崎煌代の表現力があってこそ。福岡は「演じるのも難しかったと思いますが、黒崎さんの持ち前のピュアさが非常に役とマッチして、お芝居ではなく本当に喜んで『行ってきます』と言っているようにも見えますし、台本で狙った通りの“なんとも言えない六郎への気持ち”を視聴者に与えてくれました」とし、「狙いが立ちすぎるとうまくいかない可能性もある場面ですが、本当に彼がまっすぐな思いでお芝居に向き合ってくれたので、よかったなと思います」と感謝した。

 第37話では、ツヤ(水川あさみ)の深刻な病状と息子の徴兵に苦悩する梅吉(柳葉敏郎)が、何も知らずにふざける六郎に大声をあげてしまう。その夜、甘えるように母のもとを訪れ、「わい軍隊では頑張るねん。どんくさいの卒業するんや」と話す六郎に、ツヤは「ほんまはみんな、あんたみたいに素直で正直な人間になりたい思ってんねんで」と伝え、「お母ちゃん、あんたが帰ってくんの首長うして待ってるからな」と優しく抱きしめるのだった。

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