VFXは現在の日本映画最高峰! リッチさ溢れる『ゴジラ-1.0』はまごうことなき邦画超大作

 さて、ここからは余談になるかもしれないが……私が本作を観ていて一番感動したのは、冒頭に書いた「金がかかっている」感がずっとあったことだ。邦画のジャンル映画(アクション、ホラー、ディザスター映画)系の超大作では、「金がねぇなぁ」と思うことが多々あった。低予算や中規模の映画ならさておき、全国で大々的に「超大作」と宣伝される映画で厳しいセットや安いCGを目撃して、落胆したことが何回あっただろうか? その度に「この手の映画は日本では無理なのだろうか」と勝手に落ち込んでいたものである。もちろん『HiGH&LOW THE MOVIE』(2016年)のような異常な金の使い方をしている例外もあったが、基本的に「やっぱどこも金がないのかなぁ」と悲しい気持ちになってばかりであった。ところが本作にはそれがない。全編に渡って金を使うべき場所に正しく使ったと伝わるリッチさがあった。今は過去にいろいろな映画で覚えた悲しい気持ちが、すべて浄化されたような晴れ晴れしい気持ちである。

 もちろんこちらも大人であるから、画面に映るものが作り物だとは分かる。しかし作っている人間たちの「そこにないものを作るんだ」という高い志と、そこから出力されたお値段以上の成果物には頭が下がるばかりだ。残念ながら、恐らく実際の予算はハリウッド映画に比べるとかなり小規模だろう。そんな中で本作の登場人物の如く、これまでに培ってきた経験と技術でハリウッドばりの映像を作った全関係者に改めて大きな声で言いたい。本当にお疲れ様でした。そして日本でもジャンル映画を作る際に、何とかして、もっともっと潤沢な予算と時間が用意される世界になってくれと祈るばかりである。

■公開情報
『ゴジラ-1.0』
全国東宝系にて公開中
出演:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介ほか
監督・脚本・VFX:山崎貴
音楽:佐藤直紀
制作プロダクション:TOHOスタジオ、ROBOT
配給:東宝
©2023 TOHO CO.,LTD.
公式サイト:https://godzilla-movie2023.toho.co.jp
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