『ポケットに冒険をつめこんで』『量産型リコ』 西野七瀬と与田祐希の重なる歩み

 西野七瀬が主演を務めるドラマ『ポケットに冒険をつめこんで』(テレビ東京系)が面白い。

 本作は、『ポケットモンスター』を原案とした初のオリジナルドラマで、『ポケモン』シリーズ、特に劇中にも登場する『ポケットモンスター 赤・緑』の“初代”をプレイしている人であれば、心をくすぐられるような設定や描写が随所にちりばめられている。

 クリエイターを目指して上京する赤城まどか(西野七瀬)を“主人公”としているのはその最たる例だが、開始早々からインパクト大のドわすれしがちな社長・宿谷浩一(塚地武雅)はヤドラン、まどかが食事と『ポケモン』を楽しむ憩いの場として通うキッチンカフェ「ルージュ」の店長・まさこ(佐藤江梨子)はルージュラ、第2話のゲストとして登場するコピーライター・加茂和尚(村松利史)はカモネギ、というように、一人ひとりにポケモンの要素があてがわれている。分かる人には分かるが、「まさこ」「おしょう」というのはそれぞれゲームの中でルージュラ、カモネギを交換した時に付けられている名前だ。

 20年ぶりに手にしたゲームボーイポケットとカセットにフーッと息を吹きかけ、ドキドキしながらカチッと電源を入れる。ブワーッと蘇ってくる、記憶の奥底に刻まれた懐かしい思い出。本作の記者会見やメイキングにも表れているように、主演の西野をはじめ、キャスト、スタッフ陣が『ポケモン』に強い思い入れや愛情を持っており、それぞれが『ポケットに冒険をつめこんで』という作品の中に上手い形で落とし込んでいることが、ドラマ全体を成功させている。“初代”から『ポケモン』をプレイしてきているという西野の懐かしそうに画面を見る満面の表情は嘘偽りない、自然体な芝居だ。まどかが対峙する仕事先の相手へのプレゼンを“バトル”と見立てて、かつてのゲーム画面風に再現するシーンは、深い『ポケモン』愛を感じさせる。

 同時に、本作を観ていて脳裏をよぎったのは、与田祐希が主演を務めるドラマ『量産型リコ -プラモ女子人生組み立て記-』(テレビ東京)だった。2022年7月に放送された第1弾に続き、今年6月にも『量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』としてオンエアされたこのシリーズは、『ポケットに冒険をつめこんで』と同じBABEL LABELの畑中翔太が企画・プロデュースを手がけている。ほかにも伊藤万理華が主演を務めた『お耳に合いましたら。』などがあり、乃木坂46メンバー、もしくは卒業生と「ポッドキャスト」「プラモデル」「ポケモン」といったキャッチーかつニッチな題材をテレビ東京の深夜ドラマという自由な枠で掛け合わせている、というところだ。

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