朝ドラ『ブギウギ』スズ子の出生とツヤの“秘密”に隠された愛 涙をこらえるキヌの切なさ

 梅丸少女歌劇団(USK)の研究生だった頃、熱にうなされながら弟・六郎(又野暁仁)が枕元で囁く「ワイと姉やん、ほんまのきょうだいやないかもしれへんわ」という声を聞いた鈴子(澤井梨丘)。その言葉は「鈴子はクジラ、六郎はカッパの子」というアホのおっちゃん(岡部たかし)の冗談を真に受けてのものだったが、大人になったスズ子(趣里)が六郎(黒崎煌代)と共に香川を訪れてから急にリアリティを増していく。両親と血が繋がっていないのは、どちらとも顔が似ていない六郎の方かとスズ子は思っていたが、蓋を開けてみたら自分の方だった。

 NHK連続テレビ小説『ブギウギ』第5週。初日の放送第21回では、視聴者の誰もが気になっていたスズ子の出生の秘密が明らかとなった。

 “白壁”と称されるほど大きな、地主・治郎丸(石倉三郎)の家を訪ねたスズ子。治郎丸がUSKのファンということで、その息子・菊三郎の法事に参加したが、どうにも様子がおかしい。スズ子が呼ばれた本当の理由、それは彼女が菊三郎の娘だったから。若くして亡くなった息子の忘れ形見に治郎丸は会いたくなったのだ。

 しかし、叔母のタカ(西村亜矢子)に聞くところによると、菊三郎が亡くなった後、スズ子の本当の母親はスズ子がまだお腹の中にいるときに白壁の家を追い出されたらしい。その母親とは、法事の際に物陰からスズ子を見つめていたキヌ(中越典子)という女性。彼女は白壁の人間からよく思われていなかった。治郎丸の妻・ミネ(湖条千秋)がスズ子に対して冷たい態度を取っていたのもそのためだろう。だが、そんなミネも息子に似たスズ子が踊っている姿に、祖母としての思いが溢れ出したように見えた。自分たちが追い出したにもかかわらず、今更どういう了見でスズ子を香川に呼び、挙句に祖父母であることを主張したのか。

 あまりの衝撃に呆然としているスズ子に、「何も知らなんだことにしてくれん?」と頼むタカ。そんなことを言われても、一度聞かされたら何も知らないふりなど到底できないほどの真実だ。彼女の足が自然と、キヌが嫁いだ百姓の家に向かったのは嘘であってほしいという思いがあったのかもしれない。しかし、キヌに話を聞けば聞くほど、自分が両親と血が繋がっていないという話が確信に変わっていく。

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