『どうする家康』松本潤×音尾琢真の対話に刻まれた“時間” 大谷吉継役・忍成修吾の好演も

 第41回で強く心に残るのは、家康と元忠のやりとりだけではない。反旗を翻す決意を固めた三成と大谷吉継(忍成修吾)の場面も訴えてくるものがあった。吉継は家康と三成の間を取り成すような位置にいる。甲冑に身を包んだ三成を見て、「やめておけ!」「無理だ!」と声をあげるが、三成は冷静な面持ちのまま、自らの信念を貫く。三成の芯の通ったまなざしから、彼もまた秀吉への強い忠義心をもって家康を討つ覚悟を決めたのだと伝わってくる。

「全ては天下簒奪のためなり! 野放しにすれば、いずれ豊臣家は滅ぼされるに相違ない!」
「家康を取り除けば、殿下のご遺言どおりの政をなせる。今度こそ、我が志をなしてみせる!」

 吉継に「正しき道に戻そう!」と訴えかけた三成は、吉継が飲んでいた茶を目の前で一気に飲み干すと、これまでにないほど気迫に満ちた表情で「うつして治る病なら、私にうつせ!」と力強く言い放つ。友人である三成の言動に吉継は目を見開いた。大病から復帰した吉継を奮起するには十分な言葉だった。

 毛利輝元(吹越満)、宇喜田秀家(栁俊太郎)ら諸大名たちが三成のもとへ集う。逆臣に仕立てられた家康に、茶々からは書状が届いた。大きな戦は免れない、そんな状態に追い込む茶々の目論見に、家康は乾いた声で笑う。「どうする」な状況に追い込まれた家康だが、そんな家康にはもう“か弱きプリンス”の面影は微塵も残っていない。ふっと笑顔が消え、前を見据える家康は戦乱の世を生き抜いた“オロチ”として映る。

 関ヶ原の戦いまで、あと53日。天下分け目の戦いは近い。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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