『ヒップタッチの女王』『私の解放日誌』で視聴者を魅了 イ・ミンギの強い瞳が持つ吸引力

 近年のイ・ミンギの作品といえば、2018年の『僕が見つけたシンデレラ~Beauty Inside~』でワケありの財閥御曹司役をスマートに披露し、女性たちの心に火をつけた。同作は2015年の映画『ビューティー・インサイド』を異なるストーリーでドラマ化した作品で、コン・ユとの次回作が控えるソ・ヒョンジンがトップ女優役を演じた。ふたりが織り成すラブストーリーでは、イ・ミンギのクールさとスウィートさをぞんぶんに堪能することができる。

 ドラマでもうひとつ外せないのは、2022年のNetflixシリーズ『私の解放日誌』。日本でも注目されたため、『まぶしくて ー私たちの輝く時間ー』のキム・ソギュン監督と『マイ・ディア・ミスター 〜私のおじさん〜』の脚本家パク・ヘヨンという名作を世に送り出したふたりがタッグを組んだ作品だと知られているだろうが、実に奥深いドラマだった。イ・ミンギは、田舎でくさくさする3兄弟の真ん中の長男役を演じて「ダサい」と彼女にフラれるのも納得できる、本当に冴えない男として映ったうえ、ヒューマニティに根差した作品観にも見事にマッチし、奥行きのある芝居で目を奪った。

『私の解放日誌』(写真:Everett Collection/アフロ)

 映画では、ファン・イノ監督による2011年の『恋は命がけ』、2014年の『その怪物』に主演しているイ・ミンギ。ホラーラブコメ『恋は命がけ』は、『愛の不時着』のソン・イェジンとの恋模様がドラマチックで、ストリートマジシャン役を愛らしくはつらつと演じている。一方、アクションスリラー『その怪物』では、『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のキム・ゴウンと共演。彼女は、2012年に映画『ウンギョ 青い蜜』でセンセーショナルなデビューを飾った次作が『その怪物』への出演となり、イ・ミンギ演じる冷酷な殺人鬼と対峙する役で、殺す側と追われる側という狂気の追撃戦にゾッとさせられた。渾身の演技を見せるイ・ミンギの鋭い目が強烈に印象に残る作品だ。

 そんなファン・イノ監督の最新作となる映画『デシベル』が2023年11月10日から全国公開される。キム・レウォン、イ・ジョンソク、チャウヌらの出演作ということもあって、日本でも期待している人が多いようだ。イ・ミンギは、海軍潜水艦のファン大尉役として特別出演しており、短い時間ながら十分に存在感を発揮している。筆者は、ファン・イノ監督にインタビューする機会があったのだが、イ・ミンギのことを非常に大切に思っていることが伝わった。こうして俳優としてのスタンスを高く評価してくれる監督やスタッフらとの絆や、自身の演技に対する探究心や情熱を保ち続けているイ・ミンギなら、今後もまた新しい顔を見せてくれるに違いないだろう。

■配信情報
『ヒップタッチの女王』
Netflixにて配信中
出演:ハン・ジミン、イ・ミンギ、スホ
原作・制作:キム・ソギュン、イ・ナムギュ、オ・ボヒョン、キム・ダヒ
(写真はJTBC公式サイトより)

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