朝ドラ『ブギウギ』「好きで好きでしゃあないねん」 スズ子の熱い思いがUSKをひとつに

 『ブギウギ』(NHK総合)第13話で、大和(蒼井優)が公演のメインとしてラインダンスを考案する中、桜庭(片山友希)は稽古を休んだままだった。そんなある日、桜庭がスズ子(趣里)と白川(清水くるみ)の前に現れ、劇団をやめると言い出した。

 桜庭をやめさせたくないスズ子の思いにツヤ(水川あさみ)やアサ(楠見薫)らが耳を傾ける中、悪酔いした梅吉(柳葉敏郎)が「ハッ……しょうもな!」と言い放つ。自分の一番好きなことを諦めるのには勇気がいると梅吉は語る。

「和希ちゃんがどんだけの覚悟でやめる言うたか、お父ちゃんは分かる」

 そんな梅吉だが、自身も何回もやめようと思っていたと語りながら、「お母ちゃんがやめさせてくれへんねん」「頑張ってんねん。せやけど、どうにもならへんねん」とくだを巻く。その姿はしょうもなく、情けなく映るかもしれない。だが、梅吉は耐えられないほどの悔しさや焦りを抱えながらも、脚本を書き続けている。梅吉が悪酔いしながら嘆く場面は、劇団をやめることを「死ぬ気で考えたんや」と言ってその場を去った桜庭の複雑な心中を間接的に物語るものでもあった。ツヤや六郎(黒崎煌代)が梅吉を介抱する中、梅吉の言葉を通じて桜庭の苦しい胸中を感じ取ったスズ子の表情が心に残る。

 翌日、大和が桜庭を説得しようとする中、スズ子は「ええんちゃいますか? 逃げても」「やめたらええと思うわ」と言った。しかしスズ子の言葉は、桜庭の劇団をやめる決意を後押しするものでは決してない。スズ子が梅吉に聞いたように、桜庭もスズ子になぜ続けられるのか問う。スズ子の答えはシンプルだ。

「好きやねん」
「歌って踊るんがどうしようもなく好きやねん。どんなに下手でも……好きで好きでしゃあないねん」

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