フランシス・ン主演、ロレッタ・リーのカムバック作 『香港の流れ者たち』12月16日公開へ

 香港映画『濁水漂流(原題)』が『香港の流れ者たち』の邦題で12月16日よりユーロスペース、2024年1月6日より大阪シネ・ヌーヴォほかにて全国順次公開されることが決定した。

 本作は、実際のホームレス荷物強制撤去事件をベースに制作された社会派ヒューマンドラマ。再開発のかげで追いやられるホームレスの排除問題を軸に、移民問題、そして薬物に蝕まれる貧困層など様々な社会問題を浮き彫りにしていく。デビュー作『トレイシー』が東京国際映画祭で上映されたジュン・リーが監督を務めた。

 主人公ファイを演じたのは、1980年代から香港映画界で活躍し、『エグザイル/絆』などで知られるフランシス・ン。そのほか、『バーニング・ダウン 爆発都市』のツェー・クワンホウ、『孔雀王 アシュラ伝説』のロレッタ・リー、『返校 言葉が消えた日』のセシリア・チョイ、『別叫我“賭神”』のウィル・オー、『星くずの片隅で』のチュー・パクホンらが出演。さらに、『風の輝く朝に』のセシリア・イップが特別出演している。

 刑務所を出たファイは、雑多で陰鬱な街・深水埗(シャムスイポー)へ戻り、ラムじいが出所祝いくれたクスリを打ち、ホームレス仲間たちと再び高架下で暮らしはじめる。しかし、ある晩、事前通告なしにやってきた食物環境衛生署によって、ファイたちは家も身分証明書も何もかも失ってしまう。新人ソーシャルワーカーのホーは彼らのために裁判を起こし、政府に賠償と謝罪を求める。ホーはベトナム難民であるラムじいの家族探しを手伝い、ファイの健康を心配し通院を勧め、彼らをできる限りサポートしていく。そして、ファイはハーモニカを吹く失語症の青年に出会い、「モク」という名前を与える。ファイはモクと新しい小屋を建て、心を通わせていく。そんな中、ファイたちは、ソーシャルワーカーの助けを借り、政府に賠償を求め裁判を起こすが、和解金を前に意見が割れてしまい散り散りになってしまう。

 あわせて公開されたメインビジュアルでは、フェリーから香港の街を見渡すファイ(フランシス・ン)たちや、ハーモニカを吹く青年・モクの姿が切り取られている。

 なお本作は、香港アカデミー賞11部門、台湾アカデミー賞12部門を席捲し、日本では全国5都市にて開催された「香港映画祭2022」で動員数No.1を記録している。

ジュン・リー(監督)コメント

深水埗(シャムスイポー)のホームレスを初めて取材したのは、まだ大学生頃だった。当時、彼らは翡翠市場の前で野宿していた。彼らと同じテーブルに座り語り合い、彼らが今まで癒されたことのない心の傷、忘れられない痛みを抱えていることを知った。その後、僕は一時香港を離れていたが、再び彼の元を訪ね時、木造の家はさらに密集して、囲いはどんどん高くなり、様々な人々が行き来していた。部外者の僕にとって、彼らとの接触はますます難しくなってしまっていた。僕は外部の要因によって激変したその地域の変化を、あらゆる善意と敵意も含めて書き留めることにした。多くの人は僕がこの映画を撮ることを知って、聞いてくる。彼らがなぜ路上で生活することになったか? ホームレスたちにはどんな過去があったか?と。この映画について、僕はそうした質問に答える必要がないと思う。なぜなら僕は彼らを非難したり、同情したりするつもりはないからだ。僕が関心を持っているのは、彼らの「現在」の生活と状態だ。彼らがどこの出身であれ、過去に何をしてきたかには関係なく、自分の尊厳のために戦う権利があり、人間として扱われ、尊重されるべきだと信じている。

■公開情報
『香港の流れ者たち』
12月16日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開
出演:ランシス・ン、ツェー・クワンホウ、ロレッタ・リー、セシリア・チョイ、チュー・パクホン、ベイビー・ボウ、ウィル・オー
監督:ジュン・リー
プロデューサー:マニー・マン
脚本:ジュン・リー
撮影:レオン・ミンカイ/HKSC
美術・衣裳:アルバート・プーン
編集:ヘイワード・マック、ジュン・リー
音楽:ウォン・ヒンヤン
サウンドデザイン:サイラス・タン
配給:cinema drifters・大福
2021/香港/カラー/DCP/5.1ch/112分/原題:濁水漂流/英題:Drifting/日本語字幕:小木曽三希子/宣伝デザイン:阿部宏史
©️mm2 Studios Hong Kong
公式サイト:https://hknagaremono.wixsite.com/official

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