『VIVANT』ロスからまだまだ抜け出せない! 革新的だった3つのポイント

 堺雅人が主演を務め、阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃李、役所広司、二宮和也ら豪華な俳優陣が集結したTBS日曜劇場『VIVANT』。最終回の視聴率は19.6%(ビデオリサーチ社調べ)という高視聴率を記録した。キャストの詳しい役柄やストーリーが明かされないままスタートした第1話の視聴率が11.5%だったことを踏まえると、回を追うごとにその内容や展開が話題となり、どんどんファンを増やしていったことが分かるだろう。ここでは、本作はこれまでのドラマとどのような点が異なっていたのかを考えていきたい。

これまでになかった「海外ドラマ」感

 まず本作の大きな特徴として挙げられるのが、物語の舞台が日本だけに留まらないということだろう。太陽エネルギープラント事業を進める丸菱商事の社員の乃木(堺雅人)は、その契約金が1000万ドルが1億ドルとなって誤送金されたことへの関与を疑われ、初回から中央アジアのバルカ共和国へ飛ばされる。

 その後、乃木が出会う野崎(阿部寛)も柚木(二階堂ふみ)も仕事の関係でバルカに長期間滞在していた。そこでの基本的な会話はなんと日本語ではなく、モンゴル語。乃木や野崎に至っては、CIAやFBIの知り合いに連絡するときには英語も操っており、彼らが外国語で話しているときは、画面に日本語字幕が表示されていた。

 これは、移民や、今住んでいる国以外のところにルーツを持つ人たちが多いアメリカやヨーロッパのドラマによく見られる手法である。そこに、日本ではあまり見られない砂漠の壮大で美しい映像やモンゴル遊牧民の様子などが加わり、本作は、日本のドラマでありながら海外ドラマを感じさせる、これまでにありそうでなかった雰囲気のドラマとなっていた。

日本では珍しい「スパイもの」

 乃木が所属していた「別班」は政府非公認の自衛隊諜報組織。簡単な言葉で言ってしまえば、スパイ組織だ。アメリカやイギリス、イスラエルにはそれぞれ、CIA、MI6、モサドという、現在も実際に機能している国外の政治経済状況、及びその他の秘密情報の収集と情報工作を任務とする情報機関が存在しており、本作でもところどころでそれらの名前が登場していた。

 海外ではこれらの機関に所属する人物が活躍する「スパイもの」のドラマや映画が多く、古くから続く映画『007』シリーズなどは、このジャンルにあたる。だが、日本では公式にはそのような機関がないことも関係しているのか、これまで特に連続ドラマにおいて「スパイもの」が少なかった。本作は予想を裏切る展開が話題となり、視聴者による考察も盛んに行われたが、日本では珍しい「スパイもの」というテーマがそのワクワク感をさらに大きくさせたのではないだろうか。

関連記事