山﨑賢人、“イメージを持たない”透明さが武器に? 『ヲタクに恋は難しい』では歌声も披露

 高畑充希と山﨑賢人がW主演を務めた映画『ヲタクに恋は難しい』が、9月15日にフジテレビ系『土曜プレミアム』にて放送される。

 原作は、『ヲタ恋』の愛称で親しまれるふじたの同名漫画。累計発行部数1200万部を突破し、アニメ化もされた同作を、映画『銀魂』や『今日から俺は!!』(日本テレビ系)シリーズを手がけた福田雄一監督が実写化したラブコメディだ。

 アニメや漫画をこよなく愛する隠れ腐女子の桃瀬成海(高畑充希)と、彼女の幼なじみで廃人レベルのゲームヲタク・二藤宏嵩(山﨑賢人)。恋愛より趣味重視の2人が「ヲタク同士で付き合えば快適なのでは?」と交際をスタートし、不器用にも愛を育んでいく姿がなんとも微笑ましい本作。実写化にあたって福田監督作品常連の俳優陣による独特のノリと笑い、原作にはないミュージカル要素が加わり、原作ファンからは賛否の声が挙がったが、そんな中でも再現性の高さが評価されていたのが宏嵩を演じる山﨑賢人だ。

 スーツとメガネが似合う二枚目でありながら、中身は感情表現が苦手な重度のオタクという役柄に山﨑はこの上なく適任。ビジュアル面をただ寄せるだけではなく、成海に対する愛情や彼女に近づこうにも避けられてしまうことへの寂しさなど、宏嵩の分かりにくくも豊かな感情をシリアスとコミカルが同居する演技で表現した。

 山﨑は日本の映像界において圧倒的な存在感を放っているが、一方でこれという明確なイメージを持たない俳優だと筆者は思う。例えば、『グッド・ドクター』(フジテレビ系)で自閉症スペクトラムで他者とのコミュニケーションに困難を抱える一方、驚異的な記憶力を持つサヴァン症候群の青年を演じた山﨑と、『アトムの童』(TBS系)で周囲を動かすカリスマ性を持った若き天才ゲーム開発者を演じた山﨑が、頭の中で一つに結びつくだろうか。どれもハマり役なのに、次の作品に映ったら、それ以前に演じた役のイメージを瞬く間に消せてしまう稀有な才能を山﨑は持っている。

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