『ハヤブサ消防団』岡部たかしは何を言いたかったのか? 第7話の“紫”の多さにゾッとする

 今回の第7話はこれまで以上にもう一度見返すべき回である。先述したように、アビゲイルの信者と見分けるポイントは紫のアイテムにあり、太郎のサイン会に現れた弁護士・杉森登(浜田信也)もネクタイは紫。驚くのが東京観光をしている太郎たちの周りには紫の袋やリボンをした信者がところどころにインサートされていること。高級レストランを出ていった省吾を追いかけていった男女も、シャツとスカートは紫。つまり、省吾はずっと信者に監視されていたこととなる。

 そのことを省吾は気づいていたからこそ、太郎に全てを話すことはできなかった。後に自身の動画配信チャンネルにアップされることになる動画の中で、省吾がスマホに向かって言い放ったのは「王様の耳はロバの耳」。スマホ、もしくは動画そのものをイソップ物語の森の穴に見立てれば、省吾は誰にも言えない隠し事を、その動画の中にひっそりと太郎たち消防団員にダイイング・メッセージとして残していたことになる。

 「ハヤブサが活気づく」「消防団以上に大事な使命」「あん時、確信したんよ。導かれとるんやて!」――それらのワードから見えてくるのは、省吾もまたアビゲイルの信者だったのではないかということ。過去に立木彩(川口春奈)も太郎との会話の中で、「ハヤブサという土地にいる何かが導いてくれたと思っています」と話していた。

 未だ多くの謎に包まれている、白髪の初老の映子(村岡希美)と写真に写る山原展子(小林涼子)。太郎が持ってきた展子の写真を見た省吾の反応からも、それは教祖に近いクラスの存在であることは確かだ。第8話から『ハヤブサ消防団』はついに最終章へと突入する。

■放送情報
『ハヤブサ消防団』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:中村倫也、川口春奈、満島真之介、古川雄大、岡部たかし、梶原善、橋本じゅん、山本耕史、生瀬勝久、麿赤兒、村岡希美、小林涼子、金田明夫、大和田獏
原作:池井戸潤『ハヤブサ消防団』(集英社)
脚本:香坂隆史
演出:常廣丈太(テレビ朝日)、山本大輔(アズバーズ)ほか
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:飯田サヤカ(テレビ朝日)、木曽貴美子(MMJ)、小路美智子(MMJ)
制作協力:MMJ
制作著作:テレビ朝日
©テレビ朝日

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