『ばらかもん』なるの居場所はみんなとの繋がりの中にある 清舟の“他人”の壁に揺らぎも

 これまで存在が明かされてこなかったなる(宮崎莉里沙)の父親・優一郎(岡田義徳)が登場した『ばらかもん』(フジテレビ系)第8話。

 なるの誕生日会に突然の来客が訪れる。毎年、飛行機のフィギュアのプレゼントを持ってふらりとやって来る見知らぬ男こそ、なるの父親だった。なるから少し離れたところでその成長ぶりを目を細めながら見守り、決して自分の正体は明かさない。清舟(杉野遥亮)には歯痒い距離感にも思えるが、優一郎には彼なりの父親としての矜持があったのだ。海の仕事をしている優一郎はずっとなるの側にはいられず、幼い頃自分とのお別れがくる度に父親に置いて行かれたショックで高熱を出す娘の姿を不憫に思い、父親は最初からいないという設定にしているようだ。

 しかし、なるもなるで何となくはわかっているのだ。誰が飛行機のプレゼントを毎年贈ってくれているのか。そして、飛行機なんて本当は欲しくないけれど、父親が毎年自分に会いに来てくれるのが嬉しく、常に“次は来てくれなくなるかもしれない”という不安を幼心に抱えている。子どもは大人が思っている以上に察する能力が高く、実のところいろんなことが見えている。それでいて、気づかぬ振りをしながら自分に求められている役割を一生懸命演じようとするのだ。

 清舟は「自分がなるの身に起きた何もかも知ってる大人になってしまったら、今みたいに笑ってくれなくなるような気がする」と予感していた。確かにこれまで見たことのない顔で泣きながら心細さを吐露したなるに清舟は力強く寄り添い、さらに絆を深めていた。優一郎にとっても、なるにとっても、清舟にだけは本当のことを知っておいてほしかったと言う。そんな“他人”には違いないけれど、その一言では片付けられない存在がなるの近くにいてくれて良かったと心から思う。

 「俺にとってどこまでが他人なんだ?(中略)家族じゃないからって他人にはならないんじゃないか?」と、周囲に対して一切無関心だった清舟がこんなふうに思い至るなんて、改めて彼の中で巻き起こっている変化や成長を実感させられた。何が正解かなんてわからないけれど、誰かの幸せのために眠れず徹夜して考え続ける清舟の時間はとても豊かで、かけがえのないものにも思えた。

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