『ばらかもん』遠藤憲一演じる清明の不器用な愛情 ぎこちない親子関係を修復させた“心”
清明役を演じる遠藤は、強面ながらもコミカルな父親役や『竜の道 二つの顔の復讐者』(カンテレ・フジテレビ系)での霧島源平役のようにかなり威厳があるものの横柄さもあり、あまり家族を顧みない父親役など様々なタイプの父親を好演してきた。ただ、その中でも本作のようにかなり硬派で少し離れたところから子どもを見守る父親役というのは珍しいのではないだろうか。しかし思えばいずれの父親役も不器用で愛情表現が下手なところは共通しているように思える。遠藤は貫禄とともに哀愁を出すのが巧みで、『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)でのデザイナー・久遠徹役でも、ゼロからものを生み出す苦悩を口にしていたが、本作も同様に、遠藤が話すと一気に説得力が宿る。
五島での親子の触れ合いを通して、清明は清舟に自分の仕事を手伝ってほしいと頼むことができた。その様子には、ぎこちなさがありながらも自分たちらしい親子関係を再構築中の2人の新しい兆しが見られた。
さて、島の子どもたちに書道を教える父親の姿を見て、同じように習字を教わっていた自身の幼少期を思い出す清舟。「全ての書には心がこもっている」という父親の言葉が清舟の中でストンと腑に落ちたようで、縁側から吹き込んだ風に乗って半田親子だけでなく子どもたちが書いた半紙も宙を舞う。それと白紙の半紙を並べて、「心」という文字を作り上げた清舟。優劣やどれが一番ということではなく、そんなものをはるかに超えてそれぞれの書に込められた“想い”こそが人の心を打つということを、その継ぎ接ぎだらけで皆の作品同士が支え合ってできている「心」が物語っていた。
次週はなるの親も初登場となるのだろうか。単にふざけ合っているだけではなく、自分がなるの身に起きた“何もかも知ってる大人になってしまったら今みたいに笑ってくれなくなるような気がする”と、そんなふうに彼女を眼差す清舟はやはり優しい。なるの傷が明かされる時がくるのだろうか。
■放送情報
『ばらかもん』
フジテレビ系にて、毎週水曜22:00~22:54放送
出演:杉野遥亮、宮崎莉里沙、田中みな実、綱啓永、豊嶋花、近藤華、山口香緖里、飯尾和樹、田中泯、荒木飛羽、中尾明慶、遠藤憲一
原作:ヨシノサツキ『ばらかもん』(ガンガンコミックスONLINE/スクウェア・エニックス刊)
脚本:阿相クミコ、金沢達也
主題歌:Perfume「Moon」(Polydor Records)
企画:上原寿一
プロデュース:髙丸雅隆、高橋眞智子
演出:河野圭太、植田泰史、木下高男、北坊信一
制作協力:共同テレビジョン
制作著作:フジテレビジョン
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