『ばらかもん』遠藤憲一演じる清明の不器用な愛情 ぎこちない親子関係を修復させた“心”

 半田清舟(杉野遥亮)の両親が五島に合流し、半田親子のこれまでにない掛け合いが見られた『ばらかもん』(フジテレビ系)第7話。

 なる(宮崎莉里沙)たち島の子どもたちへの書道の特別授業を頼まれた半田親子だが、怖いもの知らずの子どもらは“どっちの方が書道が上手いのか”と素朴な疑問をぶつける。これを好機と捉えたマネージャー・川藤(中尾明慶)が、この際だから正直な子どもたちにどちらが上手いか決めてもらおうと言い出し、これまで避けてきたのだろう親子での直接対決が実現した。

 普段はきちんとした文字を書く父・清明(遠藤憲一)。しかし今回は子どもが食いつきそうな珍しい書体を使ったり、魚が泳いでいる姿を水面から見た際の姿形をイメージしてあえて崩して書いたりと、とにかく引き出しが豊富で、変幻自在の文字たちは注目を集めた。

 清舟の中では美術館館長の八神(田中泯)からかつて指摘された“つまらん字”という言葉がリフレインし、「父親を超えられない。父親の期待に応えられない」と思わず声を上げて泣き出す。この涙はずっとずっと彼が一人で抱えてきた葛藤や焦燥が思わず込み上げてきたものだったのだろう。

 そんな息子に清明は「お前の字はつまらない字なんかじゃない。私の教えに真摯に取り組んできた素直な字だ。お前の書は努力と意地で人の心を打つ」と断言した。この言葉はどれだけ清舟にとって心救われるものだっただろうか。

 半田親子の間には互いに何だか遠慮があるが、それは2人の不器用な性格のためでもあり、同業ゆえの関係性でもあるのかもしれない。ただ、清舟が常に父親に追いつこうとそれのみを見本にして、神格化し過ぎている節もあるように思える。ここまで半田親子が腹を割って話し合ったのはかなり久々、あるいは人生で初めてかもしれない。清明は、清舟に何も自分が来た道をなぞってほしいのではなく、彼だけの“書道”を歩んでほしいのだろう。清明は息子のことを書道家として認めながら、だからこそ「息子にとっての生涯のライバルでいたい」という思いを口にした。

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